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カイリ・セイン、ASUKAに全米熱狂。
WWEの女子プロ革命と日本人。
posted2018/08/04 11:00
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
2018 WWE, Inc.
いま、女子プロレスの世界に革命的なことが起こりつつある。
世界最大のプロレス団体WWEが、7月23日(米国現地時間)オハイオ州シンシナシティ・USバンクアリーナで開催した「RAW」は、いつもと少し違っていた。
番組の冒頭、ビンス・マクマホン、トリプルH、ステファニー・マクマホンの3人がリングに登場。これはストーリー上の“キャラクター”ではなく、それぞれ会長(ビンス)、最高執行責任者(トリプルH)、コミッショナー(ステファニー)としての登場だ。
まずトリプルHが、ステージ上に勢揃いした女子選手たちに、これまでの活躍に対する感謝を述べると、続いてステファニーが、米国時間10月28日にWWE史上初となる、女子スーパースターのみによるPPV「エボリューション」の開催というビッグニュースを発表したのだ。
これは女子プロレスの歴史において、記念碑的な大会となる。
アメリカにおける女子プロレスの歴史は古く、1930年代からすでに“初代世界チャンピオン”ミルドレッド・バークが活躍していたが、半ば“色物”のように見られる時代が何十年も続いていた。
日本では全日本女子プロレスが'68年に設立され、フジテレビでの地上波放送もあり、何度かの大ブームを巻き起こしてきたが、アメリカには女子だけのメジャー団体は存在せず、長年、男子の前座ポジションに甘んじてきたのだ。
ディーバからスーパースターに。
WWEでは90年代後半から女子が“ディーバ”として脚光を浴びるようになるが、“ディーバ”は女子レスラーだけでなく、マネージャーなども含めたWWE女性タレントの総称であり、やはり男子の"スーパースター"とは違い、リングに華を添える意味合いが強かった。
しかし、その認識も変わりつつある。
RAWの冒頭でステファニー・コミッショナーは、10.28「エボリューション」を発表する際、「彼女達はWWEのメインイベントを務めるようになり、ディーバからスーパースターとなり数々のバリアを壊してきた。そしてまた新たな歴史を作ることになる」と語っている。
もう女性であることに重きを置いた“ディーバ”ではなく、男子と同じ“スーパースター”であると、WWE上層部が公式にあらためて発表したのだ。