サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
西野監督の後任が外国人でいいのか?
こんなにいる日本の優秀な監督たち。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2018/07/06 11:15
日本がW杯でグループリーグを突破したのは、自国開催の2002年を除くと岡田武史監督と西野朗監督と、どちらも日本人監督のときだった。
日本人スタッフの総力で戦ったロシアW杯。
ところで、なぜクリンスマンなのか?
そもそも、なぜまた外国人監督なのか?
実質的に1カ月に満たない準備期間で、西野監督はロシアW杯に臨んだ。ベスト16入りしたものの1勝しかできなかったとの批判もあるが、32カ国のうち6カ国は1勝もできずに大会を去った。グループリーグの勝点が日本より少ない国も14を数える。ワールドカップはそれぐらい紙一重の戦いなのだ。日本人監督でも戦えることを、西野監督は示した。
もちろん。彼ひとりの功績ではない。ハビエル・アギーレ、ハリルホジッチ両監督のもとでもスタッフ入りしていた手倉森誠コーチの存在は大きかった。西野体制の発足とともに入閣した森保一コーチや、国際大会の経験が豊富な早川直樹コンディショニングコーチらの献身性も、ベスト16入りの支えとなった。
ロシアW杯でベスト8まであと一歩と迫ったのは、日本人スタッフの総力によるものだったのだ。
世界のトップオブトップとの真剣勝負で、日本人は何ができるのか。これからの課題は何なのか。ベルギー戦を通して明確になった日本の針路を、外国人監督とそのスタッフに託してしまうことには、率直に違和感を覚える。
代表監督を託せる人材は日本にもいる。
西野監督が退任するならば、最初の選択肢は内部昇格だろう。クリンスマンのもとでヘッドコーチを務めたヨアヒム・レーブが、ドイツ代表の後任監督となったのは示唆に富む。
4度のW杯優勝を誇るサッカー大国のドイツなら、代表監督にふさわしい指導者はいくらでもいるはずである。それでも、ドイツサッカー連盟は、フル代表に選ばれたことのないレーブにチームを託した。彼とともに3度のW杯を戦ってきた。
まさかのグループリーグ敗退に終わった今回も、すでに結ばれていた2022年までの契約に則って続投が発表されている。
日本には代表監督を託せる人材がいないのか?
そんなことはないだろう。プレーヤーとしてW杯を経験し、監督として実績をあげている日本人指導者は決して少なくない。その代表格が、ジュビロ磐田の名波浩監督だ。J2で苦闘していた古巣をJ1へ押し戻し、1シーズンごとにチームをスケールアップさせている。
名波監督とともにフランスW杯を戦ったメンバーでは、井原正巳、山口素弘、相馬直樹らが、J1やJ2の舞台で監督を経験してきている。'02年と'06年のW杯に出場した宮本恒靖も、昨年からガンバ大阪U-23の監督としてJ3で采配をふるっている。