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打者・大谷翔平の復帰を急いだ理由。
エンゼルス打線で際立つ勝負強さ。
posted2018/07/04 17:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
大谷翔平は、エンゼルスの「救世主」になれるのだろうか。
こんなにも苦戦しているチームの調子が、たった1人の選手の活躍だけで急上昇するとは思えないが、エンゼルスは「打者・大谷」を「投手・大谷」の犠牲にはできないと考えている。
PRP注射は以前のコラムにも書いた通り、「自己治癒を促進させる」治療法である。
「打者・大谷」が活躍する中で右肘の状態が良くなって「投手・大谷」が復活する可能性が出てきたら、それはその時のこと。エンゼルスはとりあえず、「打者・大谷」の打力を求めている。
それはもちろん、「打者・大谷」がチームにとっての大きな武器になるからだ。
まず、「打者・大谷」は走者を置いて打席に立つと、とても手強い打者になる。とりわけ得点圏(二塁か三塁、もしくはその両方)に走者を置くと「打点量産マシーン」に変貌する。
重要な場面ほど大谷は厄介な打者になる。
さらに大谷はアウトの数が増えれば増えるほど、簡単にはアウトにならない=相手投手に球数を投げさせる打者になる。
打者としての出場がわずか34試合とサンプル数が少ないことを承知で書くと、大谷は走者を置いた打席で49打数16安打、打率.327、出塁率.400、長打率551と好成績を残している。つまり、33安打の半分近くが走者を置いた打席で生まれているということだ。
さらに走者が得点圏にいる打席では、24打数10安打、打率.417、出塁率.517、長打率.833と「勝負強さ」を発揮し、20打点の内、16打点を稼ぎ出している。
大谷は二死走者なしで20打数7安打、打率.350、出塁率.350、長打率.750と「簡単にはアウトにならない打者」になる。
二死一塁では9打数2安打、二死二塁では3打数2安打、二死一、二塁では4打数3安打、二死二、三塁や満塁では2打数2安打と数字は上がっていく。
二死で走者が得点圏にいる場面で打席に立てば、10打数7安打で打率.700、出塁率727、長打率1.700(!)、2本塁打11打点と手が付けられなくなる。