草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
中日のカリビアンはなぜ活躍できる。
チーム内の国境を越えたファミリア。
posted2018/05/24 08:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
5月19日の中日-阪神戦(ナゴヤドーム)では、3人のカリビアンがお立ち台を占拠した。
オネルキ・ガルシア。来日1年目の左腕は、阪神打線を7イニング1失点に封じ、チームトップの5勝目を挙げた。
ダヤン・ビシエド。中日が誇る4番打者は、1点を追う6回の好機に逆転の二塁打を放った。
スティーブン・モヤ。5番で起用された身長201センチ、体重117キロの大型打者は、ビシエドの直後に適時打を放った。
さながらカリビアン・デー。そしてこの勝利は、ドラゴンズの再生は彼ら外国人抜きにしてあり得ないことを象徴している。
ガルシアとビシエドは亡命キューバ人。
ロッカールームでは飛び交うスペイン語。だが、横浜スタジアムのロッカールームのように大音量の音楽がかかり、騒ぎ立てたりはしない。取材を受ければ小さな声で誠実に話し、増えた日本語のレパートリーがあれば慎ましく披露する。しかし、同じ言語を話しながら、彼らの人生は少しばかり複雑で、多岐にわたっている。
ガルシア。亡命キューバ人。亡命先がアメリカだったためにMLBドラフトによって指名され、ドジャース入り。ロイヤルズを含めて計5試合のメジャー登板歴があるが、未勝利に終わっている。
ビシエド。同じく亡命キューバ人。ホワイトソックスと4年1000万ドルの契約を結ぶなど期待値も高く、通算66本塁打を放つも退団した。
昨年は失敗したが、今年は念願の米国市民権を取得。「自分の人生でも非常に重要なこと」に理解を示し、一時離脱を快諾した球団に深く感謝している。
モヤ。プエルトリコ生まれのドミニカ共和国育ち。メジャー通算51試合で5本塁打を放っている。