【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
日大アメフト反則問題の核心とは。
「誰も監督に説明を強制できない」
posted2018/05/21 17:30
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Kyodo News
日本大と関西学院大のアメリカンフットボール定期戦で、悪質な反則行為がありました。パスを投げ終え、無防備な状態のQBに対して後ろからタックル。QBはそのプレーで負傷退場し、全治3週間のケガを負いました。一方、日大の選手はその後も乱暴なプレーを続け、5プレー目で退場処分となったそうです。
日大の内田正人監督は「一連の問題はすべて私に責任がある」と述べ、辞意を表明(辞任は監督のみで、日大の理事職については不透明)。しかし、悪質なプレーの指示をしたかどうかについては言葉を濁しています。
スタンフォード大でアメフト部のコーチをしている河田剛さんに話を聞いてみると「(現代の)アメリカでは絶対にありえない」とのこと。理由は以下の通りです。
(1)指導者が仕向けたとしても、選手が勝手にやったとしても、ありえないし、想像もつかなかった。
(2)あれだけ目の前でラフプレーが起きていれば、審判が一発で退場させる。
※ただし、日本の審判はほぼボランティアなので、責められないことでもある。アメリカの審判には、1ゲームにつき20~30万円の報酬が出ている。
(3)アメリカではリーグに権威があるため、大学にはっきりとした説明を求める。リーグ、「NCAA」に加盟するチームは、その指示に逆らえない。しかし、これも責めきれない。
例えば、PAC12(スタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校などが加盟するリーグ)のコミッショナーの年俸は、約4億円。一方で関東学生連盟のトップは、ほぼボランティア。
意見は食い違っているのに。
河田さんのご指摘の中で、私は(3)が特に重要なポイントだと考えています。
責任者である内田監督が、説明責任を果たしていません。学内での聞き取り調査に「反則行為を指示したことはない」と言ったと日大の広報が発表していますが、本人の口からは「一連の問題はすべて私に責任がある」とのこと。具体性はありません。
当該選手は「“反則をやるなら出してやる”と言われた」と周囲に話していたという報道もあり、意見は食い違っています。