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内田篤人が指名した意外な重要人物。
夏の移籍も「憲剛さんに相談したの」。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2018/01/30 07:00
内田篤人と中村憲剛、ツーショットのイメージは強くない。しかし、2人の間には不思議な結びつきがあるのだ。
内田が代表に戻りたい理由も、憲剛は知っている。
内田が親しみと尊敬を込めて呼ぶ“憲ちゃん”に、この日もう1つのテーマを伝える。
内田はなぜ、代表にもう一度戻りたいと思っているのか。その理由は、中村が知るはずだと本人は言うのだが。
「'10年の時、篤人はずっと試合にレギュラーで出ていて、最後は駒ちゃん(駒野友一)に代わったから、心中穏やかじゃなかった。でも、(直前に戦術変更をしたことで)意外とあの時そういう選手が多くて、俊さん(中村俊輔)とかもそうだった。俺自身は直前に顎を折ってしまって宙ぶらりんで大会に入ったから、レギュラーを外されたという感じではなかったんですけど。
篤人のことは代表に入った時から可愛がっていて、選手としても認めてた。日本のサイドバックにはいないタイプだったから、個人的にすごく好きで。W杯をきっかけに世界で活躍して欲しいなと思っていたら、外されてキレちゃってた」
「どうせ自分は出ないっていう思いがあふれちゃう」
精神的に難しい状況に置かれた内田の内心を、中村は理解できないでもなかった。
「(試合に出られないので)俺も川口能活さんに話を聞いてもらっていたんですよね。俺が篤人の話を聞いて、俺は能活さんに聞いてもらって、結局全部が能活さんにいくみたいな。俺は篤人にとってそういう(能活さんのような)人間だったんだなと。かといって馴れ合うつもりもなかったし。
でも、篤人は一番年下の方で、どうせ自分は出ないっていう思いがあふれちゃうのが見えてたので。そういうところはいやだなと思って、ススッと近くにいったりしてね。ちゃんとやりきらなきゃダメだ、って話はしましたね。
あいつが覚えているかどうか知らないけど、今このチームの一員なんだからって。でも最終的にあそこでピッチに立てなかったことがシャルケでの活躍に結びついているし、CL4強までつながってると思う」