球道雑記BACK NUMBER
ロッテ戦力外から社会人野球名門へ。
金森敬之に沁みた武田久と家族の愛。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2017/12/18 07:30
プロ8年間で通算6勝3敗3ホールド。金森にとってトライアウトは、リスタートのきっかけとなるのだろう。
四国アイランドリーグに行って変わった野球観。
野球観が大きく変わったのは、四国アイランドリーグplusの愛媛マンダリンパイレーツに行ってからだ。
「独立リーグで野球をやっている人って、どこかで挫折したけどプロを目指したいと思っている人ばかりなんです。最後の賭けじゃないですけど、本当に色んな背景を持った人ばかりで、その辺りも刺激になりました」
ロッカーもない。試合はすべて日帰り。食事も出ないし、グラウンド整備も全て自分たちでやる。目の前に広がるガランとした練習場を遠い目で見つめ「現状と何も変わりませんよ」と言った。
金森は2018年、33歳となる。球速こそ140キロ台前半だが、球速以上に伸びを感じるストレートは、トライアウト本番でも「まだまだやれる」と感じさせた。
「辞めるのは簡単、でも自分から辞めるのか?」
10月に戦力外通告を受けてから、金森はこれまで世話になってきた様々な人達と会ってきた。
その中には、北海道日本ハムから戦力外通告を受けた武田久もいた。
「辞めるのは簡単、でも自分から辞めるのか? 自分がそれで良いと思ったら辞められるけど、ちょっとでも悔いが残っていたり、まだまだやれるという気持ちがあるんだったら、ボロボロになっても最後までやった方が良い」
金森も同じ気持ちだった。
さらに、日本ハム時代にバッテリーを組んだ實松一成からもこんな言葉をもらった。
「打たれている、打たれていないは別として、自分のボールを投げれているか、投げられていないかだと思う。自分が思い描くようなボールが投げられていないんだったら、辞めた方がいいけど、投げられているうちは野球を続けた方がいい。その姿をきっと、誰かが見てくれているから」
2人の言葉は、金森の心に深く刺さった。