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ミルコ絶好調、マイルCSも神騎乗。
GI年間6勝で武豊らの記録に並ぶ。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2017/11/20 11:30
勝利数ではルメール、戸崎に次ぐ3位だが、ミルコ・デムーロの勝率、獲得賞金は1位。特に重賞での強さは強烈だ。
3歳馬にとっては厳しいマイルCSだけに、価値ある1勝。
「枠は外すぎたので気にしていた。昨日、雨が降ったのも嫌だった。いつもスタートがよく、今日もよかった。まだ3歳だから、馬の間に入ると気にしていたけど、手応えは楽でした」
3歳馬がマイルチャンピオンシップを勝つのは、2000年のアグネスデジタル以来17年ぶり。翌'01年から3歳馬の斤量が1キロ増えて古馬と1キロ差に詰まり、条件が厳しくなってからの勝利だけに、余計に価値がある。
エアスピネルから半馬身差の3着も3歳のサングレーザー、4着も3歳の桜花賞馬レーヌミノルと、前週のエリザベス女王杯につづき、3歳馬がレベルの高さを見せつけた。
また、秋華賞のディアドラ、エリザベス女王杯のモズカッチャン、そしてこのペルシアンナイトと、ハービンジャー産駒の活躍がつづいている。京都コースが合うのか、荒れた馬場を味方につけたのか、その両方か。
ペルシアンナイトの母系は、生産者の追分ファーム、管理する池江泰寿調教師と父の池江泰郎元調教師ゆかりの血統で、伯父にフェブラリーステークスなどを勝ったゴールドアリュールがいる。どちらかというとダートでの活躍馬が目立つファミリーだけに、ペルシアンナイトにも、まだ別の引き出しがあるのかもしれない。
異なる馬で6勝、新記録までチャンスは6レース
もちろん、走るのは馬なのだし、ペルシアンナイトの強さを素直に讃えるべきだが、デムーロだから力を引き出し、勝つことができたと言っていいだろう。
年間GI6勝はタイ記録だが、異なる馬で6勝したのは彼だけだ。
エアスピネルは、騎乗したライアン・ムーアがコメントしたように、勝てる競馬をしていたが、早めに先頭に立ったぶん目標にされてしまった。この馬は、朝日杯フューチュリティステークスを勝ちそうになったところでリオンディーズにかわされたのだが、そのときリオンディーズに乗っていたのもデムーロだった。
前週のエリザベス女王杯も、この週も「ミルコ祭」となったわけだが、それは今週のジャパンカップでもつづくのだろうか。騎乗するのは宝塚記念を勝ったサトノクラウンか、昨年の3着馬シュヴァルグランか。いずれにしても、武豊・キタサンブラックとの戦いが楽しみだ。