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イチローが今季探した代打の奥義。
「今の自分は嫌いじゃないです」

posted2017/10/12 11:30

 
イチローが今季探した代打の奥義。「今の自分は嫌いじゃないです」<Number Web> photograph by Kyodo News

今季最終打席を終え、ベンチで汗を拭うイチロー。今もなお、新たな自分に気づく野球人生を送っている。

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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Kyodo News

 10月1日、マーリンズパーク。2017年シーズン最終打席は、シーズン最多代打安打記録28をかける1打席となった。イチローは持てる技を駆使し、懸命にバットを振り、勝負に臨んだ。

 ブレーブスの27歳の救援右腕ダン・ウインクラーに2球で追い込まれたが、その後ボールを2球見極め、カウントは2-2。ここから見応えのある勝負が始まった。

 ウインクラーのベストピッチである145kmを超えるカットボールに合わせながら、130kmのスライダーと150kmの直球に対応する技を見せ、内角球は右方向へ、外角球は左方向へ、ファールで粘ること4球。普段は打席内でクールに振る舞うイチローが必死にボールに食らいつく姿を見せていた。

 9球目は内角に大きく外れフルカウント。迎えた10球目。外より93マイル(約150km)の直球に少しだけ遅れ、ポイントがずれた。結果は左邪飛。シーズン最終戦でメジャー記録をかけて挑んだ1打席、10球の攻防。結果とは別のプライドをイチローは示した。

得た自信を思い描いて、支えとして立った打席。

「これまでいろんな場面を体験して、それを乗り越えたり、乗り越えられなかったり、様々でしたけど、そうやって得た自信を自分の中であらためて思い描いて、それを支えとして立った打席ですね。やられましたけど」

 真剣勝負の過程はいつも通り、抜かりはなかった。だが、常に頂点を目指して切磋琢磨してきたイチローには、95年にロッキーズに在籍したジョン・バンダーウォルが記録した28本に1本及ばなかったことが悔しかった。その悔しさをジョークで紛らわした。

「2位じゃダメなんですよね。By蓮舫(民進党前代表)ですね。うん。2位じゃ忘れられちゃう」

【次ページ】 打つのが簡単になる瞬間がある。しかし代打は……。

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