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「天理史上最高の主将」が監督に。
元プロ・中村良二は超自由主義。
posted2017/08/11 11:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
今大会に出場する49代表校の監督のなかに、2人の元プロ出身の指導者がいる。
ひとりは、西東京大会決勝で早稲田実を破った東海大菅生の若林弘泰監督。もうひとりが、天理(奈良)を2年ぶりの甲子園出場に導いた中村良二監督である。
ほかにも智辯和歌山の中谷仁(元楽天)がコーチとして帯同するなど、ここ近年は元プロの指導者が甲子園に帰ってくるケースが増えた。元プロが高校野球指導者になるには、かつて教諭経験が必要だったが「学生野球資格回復制度研修会」によって大きく緩和され、門戸が開かれている。
一般入部から主将になり甲子園優勝、プロ入りした。
監督として初出場を決めた中村の経歴を紐解くと興味深い。
自身が天理高時代の3年夏、主将として全国制覇に貢献。卒業後はドラフト2位で近鉄に入団。その後、阪神などでも活躍した。
現役引退後は小・中学生の野球指導に携わると、2008年からは天理大の監督に就任し、全国大学野球選手権ベスト8の実績を残した。そして2014年に母校のコーチに就くと、2015年8月から監督に就任。そして就任2年目にして甲子園出場を果たしたのである。言わば日本の野球界の様々なカテゴリーに精通している人物なのだ。
中村は一言でいうと人格者だ。元プロの指導者は勝負の世界に生きてきたこともあってか、厳しい言葉を選んだり厳格な雰囲気を醸し出す人物が多い。ただ中村にはそういったタイプではなく、低姿勢で物腰が柔らかい。
そもそも高校時代も野球推薦ではなく、一般入部からレギュラー、そしてキャプテンへと昇りつめた。個性の強かったチームをまとめあげ「天理高校史上最高のキャプテン」と言われていた。