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桐生祥秀が臨む「内なる戦い」。
世界陸上で絶対に必要な選手として。 

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宝田将志

宝田将志Shoji Takarada

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photograph byTakashi Shimizu

posted2017/08/04 08:00

桐生祥秀が臨む「内なる戦い」。世界陸上で絶対に必要な選手として。<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

日本陸上日本選手権の100mでの桐生。大きな大会へ向けての“ピーキング”の難しさを痛感した敗北となった。

桐生とサニブラウンはチームの大きな核。

 ロンドン世界選手権に向けて、山梨県富士吉田市で7月に行われた代表合宿。

 視察した伊東強化委員長は桐生の動きの良さに目を見張り、サニブラウンとともに「チームの大きな核」と高く評価した。

「桐生君は個人種目を冷静に見られないと思うが、そのエネルギーをどう向けるか。あそこに立ちたかったという悔しさのエネルギーをスタッフ全員で、うまい方向に向けてあげられれば」と語った。

 もし、桐生がリレーを走ることになれば、リオ五輪と同じ3走での起用が濃厚だ。バトンを「受ける」「渡す」という2つの動作があり、カーブで加速するという走力と技術が求められる3走。この重要なポジションを今、日本国内で最も高いレベルでこなせるのは桐生を置いて他にいない。

若手だった桐生も、いよいよ中堅どころの年齢へ。

 京都・洛南高3年の'13年に初めて代表入りして以来、ずっと先輩たちに可愛がられてきた桐生だが、今回、1学年下の多田が初めて代表に加わるなど、年齢は四継チーム6人中、上から4番目に上がった。

 徐々に若手から中堅へ。

 立ち位置は変わり、チームのことを考える機会も増えていくはずだ。

 また、100mに出場できなかったことで、改めて個人種目で活躍することへの強い渇望も覚えるだろう。

 桐生は「まだリレーを走れるメンバーにも決まってないので、アピールできれば」と、7月23日に代々木で行われたトワイライト・ゲームスで100mを10秒05で走り、地力の高さを示した。

「3割くらいは『ここ(トワイライト・ゲームス)で頑張っても世界選手権(の100m)はないしな』と思ってしまうけど。今回はリレーで行くんで、違う気持ちで行きたい」

 割り切れない気持ちを胸に秘めて向かう3度目の世界大会。

 2020年東京五輪、そして、28歳で迎える'24年五輪へ。

 ロンドンで経験する「内なる戦い」は、本当の意味で「日本の主軸」に成長する重要なステップになるかもしれない。

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2016年8月に開催されたリオデジャネイロ五輪。ウサイン・ボルト率いるジャマイカ代表との真っ向勝負の末に、四継(男子4×100mリレー)で日本代表チームが史上初の銀メダルを獲得した。そこには、日本の伝統であるバトンパスを進化させてきた日々があった。「10秒の壁」を越えようと、選手同士がプライドを懸けて競ってきた日々があった。桐生祥秀、山縣亮太、ケンブリッジ飛鳥、飯塚翔太--偉業を達成した4選手をはじめ、コーチ、スタッフ、他の関係者までを4年間追い続けた筆者が綴る「チーム・ジャパン」のリオでの真実を描いたノンフィクション。

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