フランス・フットボール通信BACK NUMBER
プレミア屈指の名審判がサウジへ。
高年収の代わりに失ったW杯決勝の笛。
text by
パトリック・ソウデンPatrick Sowden
photograph byPierre Lahalle
posted2017/07/26 11:00
プレミアリーグ最高の審判として評価がある一方、ピッチ上での彼の振る舞いを非難する人もいる……。
ついに、煩い英メディアから自由になったのか……。
冒頭のプロ審判協会の表彰の件で論争が新展開を見せたのは、イングランドで最も優れた記者のひとりであるヘンリー・ウィンターが、『ザ・タイムズ』紙に以下のような署名原稿を書いたときだった。
「今日におけるイングランドサッカー最大の成功者は、ガリー・ケーヒルでもジョーダン・ヘンダーソンでもアダム・ララーナでもジェイムス・ミルナーでもない。デル・アリでもダニー・ローズでもハリー・ケインでもない。最優秀選手のジェイミー・バーディでもない。
マーク・クラッテンバーグだ。
彼こそ年間最優秀レフリーであり、表彰の舞台に彼が出席しないのは大いなる恥だ」
だが、黒子役のレフリーをスター扱いしたことで、ウィンターは激しく批判された。
サウジアラビアでは、クラッテンバーグがそうした議論の対象になることはあり得ない。
雑音に煩わされることなく、自らの欲望に忠実に生きることができるのだろう。