サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
久保建英がJ1でも「できること」。
なぜ彼は自分を見失わないのか。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/05/09 11:30
10代のアスリートが強烈に注目されがちな日本にあって、久保もまたその一人だが、周囲の過熱をよそに本人は着実に力を育んでいる。
U-23チームではコンビネーションが高まらないが。
U-20日本代表やJ3リーグでのプレーに比べると、ボールと身体が離れてしまっていたり、身体が伸びていたりしていた印象はある。本人に力みがあったのは否定できなかっただろう。
それでも、「何ができるのか」を見失うことはないのだ。
FC東京U-23がJ3リーグを戦う主目的は、10代から20代前半の若い選手に経験を積ませることにある。それと同時に、トップチームでプレー時間の短い選手がゲーム勘を維持したり、ケガ明けの選手がゲーム勘を取り戻したりする目的を含む。
FC東京はJ1第10節までに20人が出場しているが、FC東京U-23は第7節終了時で24人が起用されている。トップチームを構成する米本拓司、梶山陽平、前田遼一らも、今季のJ3に出場しているのだ。
その代償として、FC東京U-23はコンビネーションの練度を上げることができていない。試合を通して連携が深まるのは、少し先の話になる。久保のプレーについて言えば、適切なポジションを取っているのにボールを受けられないことがある。マークを外してもパスが出てこないシーンが、実は少なくない。
1トップのウタカ、ボランチの高萩らが手厚くサポート。
では、トップチームデビューとなったルヴァンカップはどうだったか。
4-2-3-1の「1」を任されるピーター・ウタカが、札幌の守備陣に圧力をかけていた。昨季のJ1得点王が相手守備ラインを下げさせることで、久保はトップ下のポジションでスペースを見つけることができていた。
さらにボランチの高萩洋次郎ら周囲の選手が、チーム最年少選手のオフザボールの動きを生かそうとしていた。レベルの高い選手に囲まれ、久保自身が「できること」を表現することで、今後への期待を抱かせるデビュー戦となったのだった。