野球のぼせもんBACK NUMBER
勢いで、一本槍で、粋で、練習家で。
川崎宗則がついに福岡へ帰ってきた!
posted2017/04/04 07:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
ホークスの選手たちが試合前に食べる勝負メシ。
ヤフオクドーム一塁側ダグアウトのすぐ裏手にある「選手サロン」で、彼らは胃袋を満たしてからグラウンドへ出ていく。メニュー表に並ぶのは消化の良い麺類だ。うどんやそば。ラーメンはとんこつや醤油など各種が用意されている。そして中華麺のジャンルに、それは当たり前のようにずっと記してあった。
「宗スペシャル」
その名から連想するとおり川崎宗則が考案した特製メニューだ。
まずラーメンの生麺を茹で、しっかり湯切りをして丼に盛る。スープは入れない。温かいうちに肉味噌をスプーン2、3杯ほどたっぷりと投入だ。さらに多めの白ネギとキムチ適量を上にのせて、お好みで黒ゴマを振りかければ完成だ。
川崎はこれを豪快にかき混ぜて食べていた。
「試合前はいつもコレ。辛いのは基本的に好きなんでね。パワーの源ですよ」
そう言って笑いながら、上記のレシピを教えてくれたのを覚えている。
誕生したのは'10年シーズンだった。これが周りの選手からも好評となり、いつの間にか裏メニューから昇格を果たしたのだった。
'11年オフに川崎が「イチローさんと一緒にプレーをするのが子供の頃からの夢だったから」と言いきって太平洋を越えたが、「宗スペシャル」は選手サロンに残留した。
川崎と入れ替わってショートのレギュラーに定着した今宮健太は「最近も食べましたよ」。本人不在にもかかわらず鷹ナインの“勝負メシ”となっていたのだった。
その男は突如としてホークスに帰ってきた。
主(あるじ)が去って6年目の春、その男は突如としてホークスに帰ってきた。
3月28日(日本時間29日)にマイナー契約でメジャーキャンプに参加していたシカゴ・カブスから解雇を通告された。
「朝起きたらクビだというメールがあって、こりゃ困ったと思った時に、一番に声をかけてくれたのがホークスだった。すごく嬉しかった」