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「今呼ばれたら、むしろ俺は嫌」
武藤嘉紀の代表より大切なこと。
posted2017/03/23 11:30
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
ブンデスリーガ第25節、マインツvs.シャルケ。50分にシャルケの先制点を許したマインツは、61分に2人の選手を交代させる。しかし、そこに武藤嘉紀の姿はなかった。彼はスタジアムの隅っこで、試合の様子を見ながら、淡々とアップを繰り返していた。
そして武藤がピッチに送り出されたのは、82分。監督に呼ばれてから10分近くの時間が経過。じれったいような思いで、試合を見ていたに違いない。ボランチの選手と交代出場。相手ボールをインタ―セプトし、大きなチャンスを作ったもののパスを選択し、自身のプレーには繋げられなかった。
「あそこもパスを出さずに、自分でいっちゃえばよかったかな。前や裏が無理なら、自分が下がってボールをもらって、ひとりで仕掛けていくくらいでもよかった」
試合は0-1のまま終了。起用への期待に応えることはできなかったが、この敗戦が転機になる可能性も感じさせた。
盤石のエース、コルドバの相棒争いが熾烈を極める。
武藤は長期リハビリから、1月末の第17節ケルン戦で戦線復帰。そこからは先発出場、控えと起用法がめまぐるしく変わる中、シャルケ戦ではベンチスタートとなった。
マインツは現在、対戦相手によって、1トップと2トップを使い分けている。その中でコロンビア人ストライカー、コルドバが不動のエースとなっているが、そのほかの選手起用については、武藤も「蓋を開けるまでわからない」という状況である。
「残り10分というのは、相手も(守りきろうと)身体を張って守備をするところ。そういうなかでゴールを決めるのは難しいことだけど、ピッチに入っている以上は決めなければいけなかったし、こういうチャンスをモノにしないと、次には繋がっていかないから」
ケルン戦後に「これだけ長く休んでいたので、復帰できてうれしいというより、とにかく結果を出すことにこだわっていきたい」と話していた武藤だが、まだゴールは挙げられていない。ただこの期間で5試合で先発し、3試合に途中出場。出場しなかったのはわずか1試合だけと、出場機会は確保している。