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大リーガーはトランプに物申さず?
米プロスポーツ界と、政治的発言。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2017/02/19 08:00
大の野球好きという大統領は、1月にトランプタワーにてMLBのマンフレッドコミッショナー、ヤンキースのレバイン球団社長と会談した。
「普段は政治について話さない人たちが……」
大統領の政策に異議を唱えた彼らは、実は少数派だ。そもそもスポーツ選手が政治の世界に首を突っ込むこと自体が稀である。NHLシカゴ・ブラックホークスのジョナサン・テイブス主将は地元メディアにこう話している。
「普段は(政治について)話さない人たちが、急に話すようになったような感じだね」
今までのプロ・アスリートたちが政治に無関心だったというわけではないが、大統領選挙の段階で国が分裂し始めたと感じる人は多かったし、それが決定的になった今になって、皆が未来への不安を口にするようになった。
プレー以外のところで注目されたくないという本心。
ただし、それは公の場ではなく、たとえばクラブハウスの中でのこと。テイブス主将は「盲目的に何かを信じている人間が話しているのを聞くと不安になる」と危惧しながらも、選手たちを代表して本音を口にする。
「誰もが自分の意見に固執して、お互いに話し合うのではなく分裂してしまっているけど、氷上以外の不要なことで注目されたくないのは明らかだ」
シリア生まれの父を持つホッケー選手が「コメントしたくないこと」と言えば、イスラム教徒の選手も大統領の政策について「妄想的。残念だ」と言うに留めている。
中には「友人やチームメイトと話し合ってはいるけど、すべてのことを知っているわけじゃないから話したくない」と言う者もいる。