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大リーガーはトランプに物申さず?
米プロスポーツ界と、政治的発言。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2017/02/19 08:00
大の野球好きという大統領は、1月にトランプタワーにてMLBのマンフレッドコミッショナー、ヤンキースのレバイン球団社長と会談した。
カリーもトランプ政権の一員に対して異議申し立て。
NBAのMVPを2度も獲得したステフィン・カリーは、自身が契約するスポーツメーカーの最高経営責任者(CEO)で、トランプ政権の米製造業の評議会メンバーの一員になったケビン・プランク氏に異議を申し立てた。
プランク氏がテレビで「プロのビジネスマンである大統領は、米国にとってまさしく資産だ」と発言したことを聞いて、カリーは敏感に反応。英語の「Asset=資産」を引き合いに出して「もし資産の最後の2文字を取り去れば同意する」と皮肉たっぷりに述べた。念のため書いておくと最後の2文字は「et」。残るは「Ass=尻」となり、屈辱的な表現である。
選挙後、“憎しみの犯罪”が増加し続けている。
今年のNFLフットボールの優勝決定戦、スーパーボウルの勝者ペイトリオッツからは優勝後の恒例行事となっているホワイトハウス訪問を拒否する選手たちが現れた。同じNFLのスティーラーズでプレーし、イスラム教徒のライアン・ハリスは、テレビのインタビューで思慮深く、こう話した。
「選挙が終わって以来、“憎しみの犯罪”が増加し続けている。憎悪と分裂だ」
それでも彼は、救いの道を探すのを諦めていない。
「ある人々は成長する段階で憎悪を持ち、偏見を持つようになる。その偏見には根拠がなく、やがて彼ら自身を憎むようになる。そうなるとさらに怒り、憎むようになってしまう。だが、それは自分と違う人々と連帯し、自分たちの偏見を許すプロセスであるのだと思う」
アメリカン・フットボール界には英雄がいる。パット・ティルマンは1998年から2001年までアリゾナ・カージナルスでプレーした後、高額の契約を蹴って2002年から軍隊に志願し、その2年後の2004年にアフガニスタンで亡くなった。享年27歳。その未亡人が自身のフェイスブックにこう綴っている。
「これはパットが夢見た国ではない。彼が尽くした国でも、命を捧げた国でもない」