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「四球は恥」という神経質を捨てろ。
権藤博がWBCに用意する異端投球術。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKyodo News

posted2017/02/09 12:00

「四球は恥」という神経質を捨てろ。権藤博がWBCに用意する異端投球術。<Number Web> photograph by Kyodo News

武田翔太の趣味は将棋。駆け引きや緩急で打者を翻弄する投球スタイルも納得の、頭脳派投手なのだ。

「これだけのピッチャーを揃えたんですから」

――しかし現実に適応できない投手が出る可能性もありますし、2月23日から始まる合宿でそういう投手が出てくる可能性もありますね。

「もしそういう投手が出ても、メンバーの入れ替えはしませんよ。多少はあるかもしれないですが、そんなひどいのは出てこないと思っています。そういうの(影響を受けやすいタイプ)は選んでいないですから。これだけのピッチャーを揃えたんですから、対応できるはずです。だからそこはあまり心配はしていませんね」

日本の投手は四球を恥だと思っている?

――ボールの扱いが難しいことで、やっぱり怖いのは四球でしょうか? 過去にも2009年の第2回大会では当時日本ハムにいたダルビッシュ有投手(現テキサス・レンジャーズ)が決勝で1点リードの9回からクローザーで登板しましたが、四球を連発して同点に追いつかれています。

「それは自分で潰れてしまうんですよ」

――と、いうのは?

「日本のピッチャーはフォアボールを投手の恥だと思っているんです。メジャーでは何とも思っていないんですけどね。いきなり歩かせたって『たった1つだろ。4つ出さなけりゃ、1点にはならないからフォアボールはホームランよりいいし、次のヤツを抑えればいい』と。そういうアグレッシブな考えなんです。でも、日本のピッチャーはちょっとフォアボール出すと、何であんなところで出したんだろうってなる。そこでストライクを取りにいって、それを痛打されて終わっちゃうのが最悪なんです」

――四球を恐れてスッとストライクを取りに行く方が危険ということですね。

「そう。フォアボールはね、恐れたらいかんのですよ。たった塁1つじゃないですか。これからWBCで対戦するメジャーの強力なバッター相手に、塁1つというのはどうってことないんです。フォアボール出したって次の打者でアウトを取れますよ。ここに名前を連ねている選手というのは、ずっとストライクが入らんような投手じゃないんですから。お前たちならストライクはいつでも取れる、って私は思っていますもん。だけど1つだけ言うのは、どんなときでもスッと簡単に取りにいくのはダメだということなんです」

【次ページ】 四球の後に、簡単にストライクを投げるのが一番ダメ。

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