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名門バレンシアが崩壊の危機に。
監督とSDが辞任、投資家の会長は?
posted2017/01/14 08:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
年末から先週にかけて、バレンシアで非常にバレンシアらしいことが起きた。
プランデッリ監督とスポーツディレクターの“スソ”ガルシア・ピタルクが続けて辞任したのだ。
少々遡って話を始めよう。
昨年の夏、バレンシアはオーナーであるシンガポールの富豪ピーター・リムの判断によって戦力的にも心理的にも骨抜きにされてしまった。7月のアンドレ・ゴメスのバルサ行きもさることながら、決定的だったのはリーガ開幕後という最悪のタイミングで行われた大黒柱ムスタフィとアルカセルの移籍だ。
元々経験と実績不足を指摘されていたアイェスタラーン監督は案の定、事態を持て余し、4連敗の後に解任された。
そこで後釜に選ばれたのがくだんのプランデッリである。
セリエAでの経験は豊富で、イタリア代表を率いては2012年のユーロで準優勝。戦術的アイデアを十分に持ち、チームマネージメントにも長けている。
その上「リーガで監督をするのは目標ではなく夢であり、希望だった」と語り、リム体制下のバレンシアが抱える案件――実力を伴わない選手による効果のない補強や現場を無視した主力の売却、チームに関する計画性のなさ――なども一笑に付していた。
「それは問題ではなくわたしの仕事。やる気を失ったりはしない。このチームの技術的な土台や練習に対する姿勢はしっかりしているし向上心もある」
気概を見せない選手にプランデッリが激怒。
だが、プランデッリをもってしてもバレンシアの軌道修正は成らなかった。初陣の10月2日のアトレティコ戦から12月4日のマラガ戦までリーガ8試合で1勝4敗3引き分け。24ポイント中たったの6ポイントしか獲れていない。
続く12月10日のレアル・ソシエダ戦前には、逆境をひっくり返してやろうという気概を見せない選手たちに初めて腹を立てたことをプランデッリは明らかにした。
「怒ったよ。本当に腹が立った。ここに来て初めて失望した。この2カ月間、誇りと犠牲の精神をもって、チームの成長を助けるべく努力してきたのに」