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関東から左腕3人が再び甲子園に揃う。
木更津総合、常総学院、花咲徳栄。
posted2016/08/04 10:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
NIKKAN SPORTS
まるで誘い合わせているかのような、三羽ガラスの甲子園出場だ。
7月26日の千葉大会を木更津総合が、茨城大会を常総学院が制すると、翌日の27日には埼玉大会を花咲徳栄が勝ち取り、3人が甲子園にそろう。
3人とは、それぞれチームでエースを務めている左腕投手たちだ。
木更津総合・早川隆久、常総学院の鈴木昭汰、花咲徳栄の高橋昂也である。
彼らの成績はそれぞれ凄まじい。
早川は激戦の千葉大会6試合に登板、5つの完投勝利。5回戦では昨夏代表の専大松戸戦に競り勝ち、準々決勝の東海大市原望洋戦では、ドラフト候補の右腕・島孝明に投げ勝つ完封勝利。準決勝の千葉経大付戦では、一時5失点を喫するが、チームの逆転を粘り強く待った。決勝戦では一進一退の攻防の中、9回に味方が挙げた勝ち越しの1点を守り切った。
常総学院の鈴木は厚い選手層に守られ、3試合の登板。19イニングを無失点に抑える快投で茨城大会優勝に導いた。圧巻だったのは決勝の明秀日立戦だ。
明秀日立の指揮官は、坂本勇人(巨人)らを育てあげた金沢成奉氏。個性的なタレントを生かす高い指導力を持つ指揮官だ。今年は中田翔二世とも称された投打の怪物・細川成也を擁するなど注目されていたが、そんな相手に鈴木は9回完封勝利をやってのけた。細川を4打数ノーヒット2三振。存在感を見せつける投球だった。
3人が一堂に揃ったのは、昨秋の関東大会。
花咲徳栄の高橋は、埼玉大会で6試合に登板。獅子奮迅の活躍で登板37イニングを無失点、52奪三振に抑えた。5回戦では参考記録ながら完全試合を達成し、準決勝・決勝戦は春日部共栄、聖望学園という強豪校を連続完封。2人に続いて春夏連続、3度目の甲子園出場を決め、ドラフト上位候補という評価まで得た。
面白いのはこの3人が下級生時から甲子園の経験があることで、昨秋の新チーム結成から同じ舞台に立っていることだ。
まず昨秋の関東大会で、3人は集結した。準々決勝で木更津総合と花咲徳栄が対戦して早川と高橋が投げ合い、早川が勝利した。決勝戦では木更津総合と常総学院が対決し、この時は鈴木が途中登板している。