畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
フミさん、トシさんと訪れた被災地。
畠山健介が考える「行動できる人間」。
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph byKensuke Hatakeyama
posted2016/07/11 11:30
スポーツ、そしてアスリートには、やっぱり子供たちを笑顔にする力があるのだ。
「本当に今、ラグビーが必要なのか?」
崩落や倒壊した家、歪んだ道路、震災発生から1カ月半経っても残っていた。益城町だけでなく、多くの地域が同じような現状なのだろう。
僕とトシさんは自然と言葉数少なくなった。僕は思った。今、この現状で子供たちにラグビーが必要だろうか? 自分たちのやっていることは単なるエゴなんじゃないか? そんなことを思いながら、あっという間に益城中央小学校に着いた。
先にフミさんが着いていた。マツは残念ながら諸事情で参加することは出来なかった。フミさんもトシさんも、僕と同じことを考えていた。ここに来るまでの被害状況を見て、「本当に今、ラグビーが必要なのか?」。
学校内の控え室で久しぶりに会う仲間と話し合ったのは、震災がもたらした現実と、僕らのやろうとしていることが必要なのかという内容だった。
子供たちの「でけー」、「あの人、テレビで見たー」。
話している間に時間が来た。外の被害とは裏腹に学校内はとても綺麗で、木造の温もりを感じる廊下を歩いていると、5年生らしき生徒たちが座って待っていた。僕ら3人を見ると「でけー」や「あの人、テレビで見たー」と、ざわざわしだした。
学校の先生の口頭説明と、この日来ていた日テレさんが作成してくれたVTRで僕ら3人を紹介してくれた。2015年のラグビーW杯の映像や実際にプレーしている迫力あるシーンを見て、子供たちは盛り上がっていた。
映像を見て、軽く質問タイム、それが終わるとすぐ校庭に出て、ラグビーの時間となった。
普段触ることがないであろう、楕円球に悪戦苦闘しながらも多くの子供たちが楽しそうに遊んでいた。
僕が考えていた、「今、ラグビーが必要なのか?」という考え方は違っていた。
ラグビーが必要なんじゃなくて、子供たちが笑顔になるのであれば、何でもいいんだ。僕たちはラグビーに携わる人間だったからたまたまラグビーだったが、子供たち、大人もそうだが、みんなが笑顔になれる時間がつくれるなら、エゴでも何でもいいんだ。