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相手より、日程とチーム数の影響大。
ハリルJ、W杯への関門は2度の「9月」。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAsami Enomoto
posted2016/04/13 17:00
FIFAランク上では、日本は現在アジアで4番目。上位のイラン、韓国が別組なので順当ならばW杯出場は可能ということになるが……。
海外組が多い日本に9月スタートは辛いが。
デスク「日程も結構これまでと違うけど、これはどう?」
二宮「前回は6月スタートで翌年の6月終わりでしたが、今回は9月スタートで翌年9月に終わる日程です。欧州組にとってシーズン後か、シーズンインの違いになるわけですが、この要素は決して小さくない。シーズンに入ったばかりではコンディションもこれから上げていくという段階。欧州組を主力にズラリとそろえる日本が、最高の状態で臨めるというのはなかなか難しいですよね。
それと最後の2試合に、ホームでのオーストラリア戦(8月31日)、アウェーでのサウジアラビア戦(9月5日)があります。9月のサウジアラビアは気温40度ほどと言われています。『9月』をどう乗り切っていけるかが大きなポイントになるんじゃないですかね」
デスク「報道を見ると、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は初戦のホームUAE戦(9月1日、埼玉スタジアム)の重要性を強調しているようだけど」
二宮「やっぱり2次予選のスタートでシンガポールに引き分けたトラウマが監督にはあるように思います。とはいえ初戦はやはり大事。ザックジャパンも初戦のオマーン戦で3-0、続くヨルダン戦で6-0とホーム2連戦でロケットスタートを切れたことが余裕につながりましたから。アジアカップで敗れたUAEに勝つのと、引き分けで入るのでは全然違ってくると思います」
主要メンバーの経験値は高いが、下の突き上げが必要。
デスク「メンバーは長谷部誠キャプテンを筆頭に、本田圭佑、岡崎慎司、長友佑都ら経験ある選手が多いから、その点は大丈夫でしょ」
二宮「ハリルジャパンには経験値の高い選手が多いのは、確かにプラス材料だと思います。ただ、W杯最終予選を突破するという目標を果たすと同時に、一方でロシアW杯本大会を見据えていかなければなりませんよね。経験値の高い選手たちに頼ってばかりでなく、清武弘嗣、山口蛍らロンドン五輪世代がもっと存在感を出していかないといけないだろうし、遠藤航、植田直通らリオ五輪世代の台頭も求められます。厳しい最終予選を通じてチーム内の競争力、底上げを図っていく必要があると思いますよ」
デスク「アウェーはいつも異様な雰囲気になるし、まあ、ドキドキハラハラするような展開こそが最終予選の醍醐味かもしれないね。しびれる戦いを勝ち抜いてほしいよ」
二宮「相手もさることながら時差、温度差、移動、ピッチ、アウェー独特の雰囲気……いろんな戦いが待ち受けていますからね。より厳しく、より激しい戦いをチーム全体で乗り越えていくことが、きっと本大会にもつながってくるはずです」
デスク「そうだな。もしトキドキバラバラになるチームだったら、“絶対に負けられない戦い”を乗り越えていけないもんな」
二宮「……。ともかくハリルジャパンの熱い戦いに期待しましょう!」