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バレー部員の増加はあの漫画の影響!?
中高の部活勢力図の変化を考える。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2016/01/18 10:30

バレー部員の増加はあの漫画の影響!?中高の部活勢力図の変化を考える。<Number Web> photograph by AFLO

部員数を劇的に増やしている男子バレー界には、タイミングよく石川祐希というスーパースターも現れている。

バレーボール部員増加は漫画『ハイキュー!!』効果?

 急速に部員数を増やしているのが、バレーボール部だ。

 この数字の原動力になっているのは、男子バレーボール部の復活である。2000年を超えてから、中学校では男子のバレーボール部の廃部が珍しくなかった。当時はまだ『SLAM DUNK』の影響も強く、屋内球技となると、バスケットボールを選ぶ男子の方が多かったのだ。

 しかし、この流れが変わったのは2012年からである。

『週刊少年ジャンプ』で連載が始まった『ハイキュー!!』のパワー、威力は部活地図を塗り替える勢いを示している。

『ハイキュー!!』の面白さはキャラクターだけではなく、戦略面などバレーボールの魅力そのものに踏み込んでいるところにある。ティーンエージャーのみならず、大人にも多くの読者がいる。

 私が住んでいる学区の公立中学でも男子バレーボール部が復活しており、『ハイキュー!!』の影響は、これから数年間は続くと見られる。

 現実世界でも、石川祐希という数十年にひとりの逸材の登場とシンクロして、東京オリンピックまでバレーボール人気は拡大していくのではないか。

 バスケット、ラグビーなどとともに、長身選手の奪い合いが激しくなりそうだ。

高校では柔道、ラグビーが極端に減少中。

 高校に目を転じると、柔道、ラグビーの極端な減少が目につく。

 柔道は2013年に、代表合宿などでのコーチによる選手への暴力が告発され、大きな社会問題に発展した。憧れの存在であるべき代表レベルでの「事件」が露見すると、ティーンエージャーへの影響は避けられない。

 また、柔道は安全対策も大きな課題となっているが、ラグビーも同様の問題を抱えている。

 ラグビーも2001年から比べ、高校での部員数を大きく減らしているが、実際は有力校の部員数は極端に減っているわけではない。少子化の影響によって、公立校での部活の存続が難しくなっており、高校から始めたいと思っても、ラグビー部自体が存在しない学校が多くなった。それが減少につながったのだ。

 注目すべきは2016年春の新入部員数である。ワールドカップの快挙の影響がどう出るか。毎年春、部員獲得に頭を悩ませる指導者、そして現役部員が多いが、エディー・ジャパンの快進撃という「神風」がどう影響するのか、注視したいと思う。

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