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中国杯で天才ボーヤン・ジンが世界初!
4回転ルッツ+3回転トウループの衝撃。 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byShingo Ito/AFLO SPORT

posted2015/11/10 11:00

中国杯で天才ボーヤン・ジンが世界初!4回転ルッツ+3回転トウループの衝撃。<Number Web> photograph by Shingo Ito/AFLO SPORT

中国杯のメダリストたち。左から銀のボーヤン・ジン、金のハビエル・フェルナンデス、銅のハン・ヤン。

ではトウループ以外の4回転はどうなのか?

 トウループよりもサルコウのほうが得意で、4回転もサルコウで挑むという選手は現在でも少なくない。

 初の4回転サルコウを成功させたのは、アメリカのティモシー・ゲイブルで1998年ジュニアGPファイナルでのこと。女子では安藤美姫が2002年ジュニアGPファイナルで降りたのが、現在まで唯一ISUに承認されたものである。

 サルコウの次に難易度が高いとされているジャンプはループジャンプ。この4回転を公式試合で成功させた選手は、まだいない。だがロシアのコンスタンチン・メンショフが練習で成功されたビデオはYouTubeで見ることができるし、羽生結弦は昨年の夏、「ファンタジーオンアイス」のフィナーレで降りてみせた。誰かが試合で成功させるのも、そう遠い日ではないだろう。

 4回転フリップジャンプは、高橋大輔が2010年トリノ世界選手権のフリーで跳び、着氷したが回転不足と認定された。現在でも公式試合ではまだ誰も成功したことのないジャンプである。

ながらく成功した者がいなかった4回転ルッツ。

 4回転ルッツを試合で挑みはじめた先駆者のひとりがアメリカのマイケル・ワイスで、1998年のこと。全米選手権と世界選手権で挑戦したが、成功させたことはなかった。

 2001年にはロシア杯でエフゲニー・プルシェンコが挑み、きれいに回っていったん着氷したように見えたが、エッジが抜けて転倒した。

 このジャンプが公式試合で成功するまでに、それから10年の歳月がかかった。

 2011年、米国のブランドン・ムロズが9月にアメリカの小規模な大会で成功させ、1カ月後にISUが正式に承認。11月にはNHK杯で彼が成功させたのが、ISU大会での初の成功記録である。だがムロズは他のミスが重なってこの試合で9位に終わった。

 現在4回転ルッツに挑戦し続けているのは米国のアダム・リッポンがいるが、まだ試合で成功したことはない。中国杯のボーヤン・ジンの4回転ルッツは、ムロズ以来3年ぶりの快挙となる。

【次ページ】 4ルッツの持つ、驚くべきポイントの高さ。

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