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シックスマンに徹してNBA優勝へ!
イグダーラの覚醒と今季への想い。
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宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byYukihito Taguchi
posted2015/10/27 10:30

NBA開幕を直前に控え、「今季もまた『ワイルド・ワイルド・ウェスト』(ウェスタン・カンファレンスの混戦)になるだろう」とコメントしたイグダーラ。
かつての同僚の受賞を我が事のように喜ぶ。
これだけでは、まだシックスマン賞が好きではない理由としては十分な説明になっていないのだが、説明しきれないと思ったのか、話題を、実際にシックスマン賞を受賞したルー・ウィリアムス(現ロサンゼルス・レイカーズ。昨季はトロント・ラプターズ)のことに向けた。
「ルー・ウィリアムスとはいい友達なんだ。彼はすばらしいシーズンを送っていたから、むしろ彼が取ったということが嬉しかった。(受賞したくなかったのは)それが大きかった。受賞すべき選手が受賞したと思う」
ウィリアムスとイグダーラはフィラデルフィア・セブンティシクサーズ時代のチームメイトだ。イグダーラの1年後にウィリアムスがシクサーズにドラフトされ、その後7シーズンの間、チームメイトとしてプレーした。それぞれがプロとしてのキャリアを始めた時期を共に過ごしたわけで、私生活でも家族ぐるみのつきあいがあったらしい。
ウィリアムスはシックスマンに誇りを持つ。
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そんなウィリアムスは、ある意味、イグダーラと対照的な選手だ。イグダーラが昨季前まで全試合スターターだったのに対して、ウィリアムスは昨シーズンまで10シーズン通算634試合のうち、スターターだったのはわずか54試合。シックスマンのベテランと言ってもいい。
ウィリアムスに、シックスマンとしてのイグダーラについて聞いてみた。
「アンドレはいつも“アンセルフィッシュ”で、チームが勝つためなら何でもやるような選手だったから、控えの役割を受け入れたことは驚かなかった。ただ、シックスマンの役割は、アンドレが一番得意とする役割ではないと思う。彼は元オールスターで、かつてはチームの最多得点をあげるスコアラーだった。いつもチームで1番手か2番手の“ゴー・トゥ・ガイ(ここ一番で頼れるような選手)”だった。おそらく、彼は自分のことをシックスマンだと思い描いてはいないと思う。自分から進んで選びたい役割ではないけれど、受け入れてやっているのだと思う」
ウィリアムスは、自分がイグダーラほど選手としての実績がないことや、優勝やオールスター、オリンピックを経験していないことにも触れた上で、だからこそ、自分が長年務めてきたシックスマンという役割に誇りを持って取り組んでいると語った。