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シックスマンに徹してNBA優勝へ!
イグダーラの覚醒と今季への想い。
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宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byYukihito Taguchi
posted2015/10/27 10:30
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NBA開幕を直前に控え、「今季もまた『ワイルド・ワイルド・ウェスト』(ウェスタン・カンファレンスの混戦)になるだろう」とコメントしたイグダーラ。
ウィリアムスが考えるシックスマンの役割とは?
「アンドレと僕のキャリアの道のりは違う。僕はオールスターになっていないし、彼が得てきたような称賛は得てこなかった。だから、僕らの考え方は違う。僕は5、6年の間、ずっとシックスマンをやってきたけれど、彼はまだ半年しかシックスマンをやっていないわけだからね。だから僕らの考え方は、まったく違うと思う」
ウィリアムスにとってシックスマンとはどんな選手なのだろうか?
「僕にとっては、シックスマンは役割を受け入れるということだ。試合に出てきて、流れを変えることができる選手がシックスマンだ。シックスマン賞は今年も僕が取りたいから、彼に渡すつもりはないよ」
「役割を受け入れると物事はいい方向に進む」
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最後に、話をイグダーラがシックスマン賞を好きではない理由に戻そう。
9月末、ウォリアーズのメディアデーで、シックスマン賞について聞かれたイグダーラは、さらに率直なコメントを口にした。
「正直、シックスマン賞は僕にとってそれほど重要ではないんだ。シックスマンだけ特別に取り上げて賞を与えるのは、まるで“アファーマティブ・アクション”か何かのように感じる」
「アファーマティブ・アクション」とは、弱者集団への差別を解消するために、大学入学や就職時に、差別されていると見られる集団(人種、性別など)を積極的に受け入れるための枠を設けるなどの措置のこと。シックスマンだけ賞をあえて作って与えることは、まるで弱者救済のようだというわけだ。
「弱者救済」と言うと誤解を与えるかもしれないが、イグダーラは決してシックスマンの役割を弱者として軽視しているわけではない。むしろ「多くのシックスマンは様々な責任を担っているし、残りの選手の80%よりも、チームに大きな影響を与えている存在」とも言っている。納得できないのは、価値が認められにくいから賞を与えるというやり方なのだろう。
どうやらイグダーラ自身はといえば、シックスマンの役割を受け入れたことで、新たなチャレンジを見出したようでもある。
イグダーラは言う。
「役割を受け入れると、物事は自分にとっていい方向に進んでいく。シックスマンとして1年経験してみて、今では昨シーズンよりも1兆倍、よく理解できるようになった。シックスマンにも慣れてきた。シックスマンとしてのシーズンを楽しみにしているぐらいだ」
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