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“夏場になれば強い”は幻想だった。
連続入賞逃した日本マラソンの現実。
posted2015/08/23 13:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
「現実を突きつけられました」
日本陸上競技連盟で男子長距離マラソン部長を務める宗猛氏の、レース後のコメントがすべてを物語っていた。
8月22日、北京で世界選手権が開幕した。
大会の最初の種目となったのは男子マラソン。今井正人が欠場となったため、日本からは藤原正和、前田和浩の2名が出場したが、藤原が2時間21分6秒で21位、前田は2時間32分49秒で40位に終わった。
簡単にレースを振り返ってみる。
夏のレースであることから、午前7時35分(日本時間午前8時35分)にスタート。その時点での気温は22度だったが、時間とともに上がることは十分に予想された。
それもあってか、最初の5kmは16分6秒。その後も5kmのラップタイムはあがらず、ときに揺さぶりをかける選手が現れてもスローペースで推移する。
15kmは藤原がトップから1秒差の4位、前田は8秒差の32位で通過する。しかし前田はそこから順位を落として行き、粘りを見せて食い下がっていた藤原も20kmを過ぎてから失速。そのまま両者とも巻き返すことはできなかった。
藤原、前田、両選手とも経験豊かな選手だが……。
日本は世界選手権で8大会連続入賞していたが、その記録も途絶えることになった。それを考えても、惨敗と言われても仕方ない結果である。
2選手とも34歳。藤原は世界選手権2度目、前田は1万mも含めれば4度目の経験豊かな選手だ。夏場のレースがどのような条件になるかも知っている。
当然、対策は立てて臨んでいた。
藤原は、ロスの少ない走りを目指し1年をかけてフォームの改造に取り組んできた。
前田も7月に福岡で合宿を行なうなど、暑さを意識した調整を行なってきた。
それらは功を奏さなかった。
走り終えて、藤原はこうコメントした。
「順位も良くなくて申し訳ないです。一人になってからも前を追っていこうと思っていましたが、体が動きませんでした」
一方の前田。
「対応できなかったです。19km過ぎから両足がけいれんしてしまいました。脱水はあったかもしれません」