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金権体質を批判しても始まらない!
日本のFIFA報道に欠ける3つの視点。 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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posted2015/06/24 10:30

金権体質を批判しても始まらない!日本のFIFA報道に欠ける3つの視点。<Number Web> photograph by AFLO

FIFAのジョゼフ・ブラッター会長(左)と、UEFAのミシェル・プラティニ会長。FIFAの巨大権力を巡る綱引きはまだ終わっていない。

もちろん不正は徹底的に糾弾されるべきだが……。

 だがワイドショー的な総括の仕方には、ある種の陥穽が潜む。

 もちろんFIFAの金権体質を肯定するつもりは毛頭ない。組織絡みであると個人レベルであるとを問わず、不正は徹底的に糾されるべきだし、財務の実情も白日の下にさらされる必要がある。高騰する放映権料とスポンサー契約料、チケットの横流し問題、不自然なW杯の開催地選定などの被害を最終的に受けるのは、一般のサッカーファンになるからだ。

 とはいえFIFAのスキャンダルは、当たり障りのない金権体質批判で括れるほど分かりやすいものではない。起訴された案件の数や、法的に触れるか触れないかというグレーゾーンのケースが多いことだけが原因ではない。そもそもサッカー界は、テレビの時代劇やヒーロー映画のような単純な構図になっていない。いかに俗耳に入りやすくとも、勧善懲悪的な単純なロジックで論じようとするのは、現実を見誤らせるという意味で危険でさえある。

1974年に1000万円だった放映権料が400億円に!

 まずはFIFAの金権体質問題を考えてみよう。今回のスキャンダルでは、放映権料の高騰に象徴されるサッカーバブルの肥大がクローズアップされている。その事実は、日本が支払ってきた放映権料だけを見ても明らかだ。

 たとえば1974年の西ドイツ大会当時、中継を担当した東京12チャンネル(現在のテレビ東京)が支払った放映権料は1000万円弱だった。'90年代、NHKが放映を担当していた頃には6億円の値札が付けられていたが、2002年の日韓大会を境に、常軌を逸した上昇を始める。65億円(日韓)、160億円(ドイツ)、200億円(南ア)と跳ね上がり、昨夏のブラジル大会では400億にも達した。FIFAは昨2014年、単年で20億9600万ドル(約2600億円)にも及ぶ収入を得たとされる。その半分以上を占めたのが放映権料だった。

 結果、FIFAの金権体質は強化され、高額なスポンサー契約などとともに不正が生まれる温床の一つとなった。しかし、サッカーバブルの肥大をW杯との絡みだけで論じるのは無理がある。FIFAがバブル拡大の中心的な役割を果たしてきたとしてもだ。

【次ページ】 サッカーに人気がある以上、バブルは避けられない。

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