Jをめぐる冒険BACK NUMBER
元J1組との6連戦で岡山が得た自信。
湘南・松本の系譜を引く「前方型」。
posted2015/04/24 10:40
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
J2の日程が発表された際には「試練の6連戦」に思えたかもしれないが、終わってみれば、今シーズンを戦う上で「やれる」との確信が強まったに違いない。
昇格候補と目される元J1チームとの対戦が続いた2節から7節までを、2勝3分け1敗の成績で駆け抜けたファジアーノ岡山のことだ。
その結果は、以下のとおり。
2節 大分トリニータ戦 ○1-0
3節 セレッソ大阪戦 △1-1
4節 ジェフ千葉戦 ●0-1
5節 大宮アルディージャ戦 △0-0
6節 徳島ヴォルティス戦 ○2-1
7節 ジュビロ磐田戦 △1-1
序盤のヤマを越えた翌節は、ロアッソ熊本に3-0で勝利。例年にも増して混戦の匂いが漂うJ2で首位の磐田と勝ち点差4、C大阪や大宮を上回る5位につけている。
昨シーズンのJ2を席巻したのは、冒険的なスタイルでダイナミックに走り切る湘南ベルマーレや松本山雅だったが、岡山もまた“前方へのベクトル”が太いチームだ。
前線からの連動したプレスで相手チームのミスを誘うと、選手が次々にアタッキングゾーンに飛び出していく。2列目、3列目の選手たちも、迷わず長い距離を駆け抜ける。
磐田の技巧派DFたちをも慌てさせた前からの圧力。
磐田戦で奪った22分の先制ゴールもこの形から。右サイドからDFとGKの間にフィードを入れると、2シャドーの一角に入る伊藤大介が猛然と飛び出していく。GKのクリアをブロックすると、こぼれ球を自ら拾ってゴール前にクロス。そこには、1トップの押谷祐樹が磐田のDFよりも速く詰めていた。
こうした猛プレスが偶然でないことは、それまでの20分間で2度も磐田のDFからボールを奪っていたことからもうかがえる。
「岡山のボールアプローチのスピードは我々を上回っていたと思うし、スピードアップしたときのプレッシャーは予想外というか、予想よりも速かったと思う」
磐田の名波浩監督の言葉である。磐田からすれば同じミスを何度も繰り返したことになるが、逆に言えば、磐田の技巧派DFをもってしても引っ掛けられてしまうほど、岡山の圧力が強かったとも言える。