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生粋の江戸っ子が綴る大正、昭和の釣り談義。
~『江戸前の釣り』にあふれる粋~
text by
馬立勝Masaru Madate
photograph bySports Graphic Number
posted2015/03/03 10:00
『江戸前の釣り』三代目三遊亭金馬著 中公文庫 762円+税
中学生の頃だから、もう60年近い昔、よく通った東宝名人会で金馬だけが講談師のように釈台(机)を前に一席やる。お袋が「鉄道事故で片足を失った。それを客に見せない心遣い」と教えてくれた。三代目・金馬、生粋の江戸っ子だ。
「ぼくは、この小さなタナゴに魅せられて、千葉県佐倉の鹿島川の鉄橋で汽車にはね飛ばされ、半年も入院したのだから、実にあっぱれなものと自分でも思っている」とは、釣りへの情熱をユーモアをまじえて洩らした師匠自負の一節。はげ頭、ドングリ眼のご面相を思い出すが、歯切れのよい高座の口調そのまま、大正、昭和の釣り三昧をたっぷりつづった。