フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
町田の引退、羽生緊急手術……。
世界選手権での日本勢の展望は?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2015/01/14 10:30
「スポーツ選手のセカンドキャリア問題に取り組む」「フィギュアスケートをスポーツマネジメントの領域で考察する」という説明で自らの今後を語った町田。
町田引退に続いて、羽生結弦手術の報が。
そんな中、スケートファンにとっては続けざまの衝撃となるニュースが報道された。羽生結弦が腹痛を訴えて全日本選手権のエキジビションを欠場。精密検査の結果、尿膜管遺残症との診断されて30日に急遽手術を受けたのだという。
10月には腰痛のためにフィンランディア杯を欠場し、シーズン初戦となった11月の中国杯ではウォームアップ中に中国の選手との衝突事故。今シーズンは羽生にとって厄年にあたってでもいるのかと思いたくなる、災難続きである。
2週間の入院とその後1カ月の安静治療が必要と発表されたが、1月8日に「術後は徐々に回復しているが、今は焦らず治療に専念したいと思っている。練習はできないが、これも一つの幸運だと思い、次の一歩のための有意義な時間にしていきたい」と本人のコメントが発表された。
今シーズン、無理に無理を重ねてきた羽生だが、今度こそしっかりと休養を取るべきなのではという世論の声も高い。だが本人は、すでに3月の世界選手権の出場に意欲を見せているという。
3月の上海・世界選手権に、間に合うのか?
こうした現状の中で、3月末に上海で開催される予定の世界選手権は、日本男子にとってどのような大会になるのだろう。
1つ明るいニュースは、2年前の怪我から不調を引きずっていた小塚崇彦が全日本ではフリーで見事な演技を見せて、表彰台に復帰してきたことである。久しぶりに本領を発揮した彼の滑りは、ベテランらしい品格に満ちた素晴らしいスケーティングだった。
また今シーズン、一皮剥けたように磨きのかかった無良崇人は、引退した町田の意思を継いで代理出場となる。
現時点で羽生の世界選手権出場が本当に可能なのかは未知数で、たとえ可能でも手術後回復したばかりの体で出場することが良い結果になるのかどうか、なんとも判断できない。だが日本チームに対する義務感だけで羽生が無理に出場する必要はないことだけは確かである。
小塚と無良の二人が上海でしっかり自分の滑りを見せることができれば、この二人の成績で合計13以内という条件を満たして男子3枠を維持することはさほど難しくないだろう。羽生の早い回復を祈りながら、この二人がしっかり調整をしていってくれることを信じて見守りたい。