「W杯が近づくにつれて、重圧はすごかった」

　W杯という子どものころからあこがれた夢の舞台で、諦めるわけにはいかない。しかし、その舞台で味わったのは苦い想いだけだった。

「W杯が近づくにつれて、そこへ行きたい、試合に出たいという気持ちは自然と強くなっていたので、重圧はすごかったですね。でもW杯が終わり、またイチからのスタートになった。そして、代表に呼ばれなかった期間が3カ月間もあったので、もう代表とかを意識しすぎても仕方がないという風にも思ったんです。だから、ハノーファーでのことしか考えていなかった」

　自身の想いとは裏腹に、代表との距離をとらざるを得なかったからこそ、“日本代表”というステージを平常心で受け入れることができるようになったのかもしれない。

「このチームは基本的に自由だなと感じました」

「サッカーだけにしか集中していないです。今は」

　いちフットボーラーとして、素晴らしい仲間たちとサッカーを楽しみたい。共に戦い、日本代表を進化させていきたい。アギーレ監督率いる現日本代表について語る清武は、実に楽しそうだ。

「監督から特別な指示はなかったですね。このチームは基本的に自由だなと感じました。今日は前に速くパスを入れる感じでしたけど、次はもっと落ち着かせるところは落ち着かせたりしたい。理想的な形は、自分たちのポジションがもっと裏へ抜けたり、ゴール前に入って行くことなので、それをどうやって作っていくかを、もっと考えながらやるべきだと思います。

　後ろでゲームを作っても最終的にはペナルティエリアへ入っていかないといけない。それは試合が終わって、（香川）真司くんとも話しました。自分たちはゲームを作るだけじゃなくて、フィニッシュに絡むことも必要。パサーだけじゃないというのを示していかないといけない」

　攻守の切り替え、サイドからの崩し、速い攻撃、速いパス回し、味方との距離感……。トレーニングの中で、指揮官が示すポイントを押さえつつ、結果を導き出す手段を選手たち自身で模索する。言葉を交わし、イメージをぶつけ合い、ピッチの上で表現しながら、微調整を加えていく。清武と香川に限らず、選手間で濃密なコミュニケーションが行なわれている。

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