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岡田彰布はブラジルW杯をどう見たか。
「俺は野球のことしかわからんけどな」
posted2014/06/30 10:30
text by
岡田彰布Akinobu Okada
photograph by
Sports Graphic Number
最新号が配信されました。6月27日配信号の内容を一部ご紹介します。
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今週の目次
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【1】 巨人の優勝戦で幕を閉じた交流戦を総括する。
~貯金ゼロになった阪神は巻き返しなるか~
【2】 大舞台のプレッシャーに打ち勝つために。
~メンタルは結果にどう影響するのか~
【3】 読者の質問に「そら、答えるよ」。
~岡田彰布のズバリ回答~
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【2】 大舞台のプレッシャーに打ち勝つために。
~メンタルは結果にどう影響するのか~
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──岡田さん、ワールドカップはご覧になってます?
岡田:そら見とるよ。
──残念ながら日本代表は負けてしまいましたが、「自分たちのサッカーができなかった」と、大舞台で普段通りの実力を発揮できなかったことを悔やむ選手も多かったですよね。野球においてもメンタルは重要だと思うんですが……。
岡田:野球は攻撃と守備が区別されるし、打席にしても順番でまわってくるから「次はオレの番だな」と準備しやすいけど、サッカーは準備しにくいんちゃうか。急にええボールが来ても、蹴れなかったりなあ……。そら難しいと思うわ。オレは野球のことしかわからんけどな。
でも、ゴルフとかの個人競技やったらメンタルの強い弱いはハッキリするけど、サッカーにしても野球にしても団体競技やんか。チーム全体でメンタルがどうのこうのを判断するのは難しいわ。ひとりの選手がミスしても、他の選手がカバーできるわけやしな。メンタルだけをクローズアップして判断するのはできんわな。
──たしかに……。しかし、岡田さんも選手時代、監督時代を通じて、プレッシャーのかかる試合を数多く経験してきましたよね。
岡田:「天王山」とか「大一番」とかいわれる試合でも、それまで積み重ねてきた過程があったからこそ、試合にそういった意味がうまれるわけやからね。突然、優勝がかかったゲームになるわけやなく、勝ったり負けたり、苦しいことも乗り越えてきた上で、優勝が見えてくるわけやから。そういう局面で戦うことの準備いうんか、心構えはできていた。
オレも「大一番」といわれるような試合を経験してきてるけど、監督のときには「優勝するとかしないとか、そういうことは関係なく、いつも自分たちがやってきたことをやろう」と選手にはいうたよ。
サッカーでもそうやろな。「自分たちのサッカー」っていうのは、「今までやってきたサッカー」っていう意味やろ。けっきょく今まで通りに、普通にできるかどうかってことは、自分の力を出せるか出せないかになってくるわけやからな。
「プレッシャーに強いやつなんて、誰ひとりいてないよ」
──しかし、大舞台になればなるほど、いつも通りのことをやるというのは難しいですよね。スポーツに限らず、ビジネスの舞台でも。
岡田:せやなあ……でも、試合に勝つ勝たない、結果を出す出さないと、メンタルの強い弱いは、また別問題やと思うで。コメンテーターとか評論家は「この選手はプレッシャーに弱い」とかアレコレいうけども、そういった分析は軽すぎるわ。実際そういった立場にいない人間が、簡単に理解できるようなことと違うと思うよ。
そもそもプレッシャーに強いやつなんて、誰ひとりいてないとオレは思うんよ。野球でもスカウトがドラフト候補を説明するときに、「この選手は強心臓でピンチに強い」なんて口にするやつがおるんやけど、そういうことを情報として報告してきたら「そんな主観的な情報はいらん」と突っぱねてきた。強心臓なんて誰が判断するんよ? ピンチに強い? ……そんなもんピンチつくらないほうがええに決まってるやんか(笑)。