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岡崎慎司が“負けて気づいたこと”。
「W杯をやっと経験できたな、と」
posted2014/06/19 16:30
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
日本代表のベースキャンプ地イトゥにある「スパ・ スポーツ・リゾート」内には、メディアセンターが設置され、練習終了後、1日7人から8人の選手が取材に応じる。通常の立ち話ではなく、椅子に座った選手を記者が取り囲む形だが、その時間は長くても10分程度だ。
6月14日の初戦に敗れたあと、15日にイトゥに戻った代表はその日の夕方から練習を再開。16日、17日と3日間かけて、すべての選手が取材に応じた。1日目よりも2日目、そして3日目と時間が経つにつれて、選手たちは明確な言葉で、敗戦を語り、第2戦へ意気込みを口にしているように感じた。
その変化は、試合を終えて自問自答し、チームメイトと語り合った時間がもたらしたものだ。
「チームとしてただ単に未熟だった」
6月17日、取材に応じた岡崎慎司は饒舌だった。
「自分たちが仕掛けていこうという気持ちで、ピッチに立った。でも早い時間に先制点が決まるという想定外のことが起きて、1-0のままで守りきろうという気持ちが生まれてしまった。2点目、3点目をとりにいくよりも、『このまま守って』という雰囲気になってしまった。
結局、相手を警戒しすぎて気持ちが守備へ傾いていた。どこかで反撃するプランが選手個人の中にあれば、一人ひとりが違う行動を起こせたと思う。試合の状況を覆す行動ができれば、ね。でもそういうところで、チームとしてただ単に未熟だった。個人的にも『もう少し、ラインを高くしよう』と言えたら、違う展開になったかもしれない。でも、言える状況ではなかった。俺ひとりが前へ行っても、良くないので。正直割り切って、守備に力を注ぎました」
現代表で、そんなムードになったのは、初めてだったと岡崎は言う。