野球クロスロードBACK NUMBER
打撃は質実剛健、顔は剛力彩芽?
「イチロー2世」、日本ハム・谷口雄也。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/05/27 10:30
中田翔とはトークショーで共演し「かわいい」と連呼されるなど大の仲良し。しかしポジションは同じ。谷口雄也は激戦区の日本ハム外野陣で定位置を奪えるか。
稲葉に教えを請い、今年も一軍昇格を果たしたが……。
「すぐに一軍に上がることもいいことなんでしょうけど、しっかり準備してから上がることが大前提だと自分は思っているんですね。焦ったってしょうがないというか、課題とか取り組んでいることを1個、1個クリアしていかないとダメなんじゃないかと」
'13年から稲葉篤紀に弟子入りし、自主トレにも同行するようになった。「トップの位置を早く作る」といった技術的な要素から、「狙い球を待ち過ぎるのはよくない」など打席での心構えも数多く吸収した。その成果が、今年の春にひとつの形となって表れたのだ。
それでも、好調な時期とはそう長くは続かないものである。
開幕は二軍スタートながら4月19日には早くも一軍昇格を果たし、スタメン出場などチャンスも与えられた。ところが、結果は9試合の出場で16打数2安打。5月17日にはファーム行きを告げられてしまう。
原因は谷口自身も把握している。
サウスポーからコンスタントに結果を残せるか否か。
対左投手の弱さ。2打数無安打と対戦こそ少ないが、右投手での起用が多いことを考えると、それが今の自分にとって大きな課題のひとつなのだと認識することができる。
「一軍だと左では使ってもらえない状況なので、左ピッチャーのボールに対して一振りで結果を残せるようにしないといけないな、と意識しながら今はやっています」
谷口の取り組みは、少しずつではあるが実を結び始めている。
22日のイースタン・リーグ巨人戦。第1打席で今村信貴のスライダーを完璧に捉えた打球は、右中間スタンドに吸い込まれる。自画自賛の一発だった。
「今村君は真っ直ぐに力があるピッチャーですけど、ちょっと抜いた球もあるんです。1打席目は初球のスライダーが少しすっぽ抜けていたので、『この打席でもう1回、修正して来るんじゃないか?』という考えもあって。うまく対応することができました」
この一打に関しては納得している。しかし、1試合通じての打撃となると、コンスタントに中身のある内容を披露できているわけではない。
本塁打の喜び以上に悔やんだのは8回の第4打席だ。1死一塁の場面で、ワンポイントで登板した青木高広のシュートを引っかけセカンドゴロ。ゲッツーこそ免れたが、注文通りの凡打に仕留められてしまった。