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イチローの調子は「背中」でわかる!?
打撃フォームに久々に戻った“丸み”。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2014/04/20 10:50

イチローの調子は「背中」でわかる!?打撃フォームに久々に戻った“丸み”。<Number Web> photograph by Getty Images

スタメンではないものの、4月16日時点で11試合に出場し、23打数10安打、打率.435と好調を維持するイチロー選手。守備でもフェンス際の難しい打球に飛びつくなど、好プレーを見せている。

 ボクサーのファイティングポーズは理想的な姿勢。

 この背中の違いは何なのか。なぜ、背中を注目して見ているのか。話は今年1月に遡る。

 ロサンゼルスを訪れていた、ある日本人選手の自主トレを見学に行った時のことだった。一緒にトレーニングしながら会話を楽しみ、野球談義で盛り上がり、いつしか身体の使い方に関するある理論についての話になっていた。

 技術論はもちろんのことだが、特に身体の動かし方、鍛え方に関する話は、プロアスリートでなくとも実生活にも応用できる部分があり、実に興味深い。

 その選手が昨年末に知ったという、ある指導者が提唱する身体の使い方に関する理論。これこそが、イチローの背中の違いを説明してくれる。

 ここでそのすべてを説明することは避けさせていただくが、1つの重要なポイントとして、身体を無駄なく動かす理想的な姿勢として“背中”があるという。

 簡単な例をあげて紹介しよう。

 ボクサーがファイティングポーズをとっている時の背中を思い浮かべてほしい。

 真っ直ぐではなく、どちらかと言えば丸くなっているイメージではないだろうか。この“胸を内側に閉じたような状態の背中”が理想的な姿勢ということになる。

 実際に体感してほしい。いわゆるファイティングポーズの状態と、背中を伸ばした状態でパンチを出す動作を比較すれば、明らかにファイティングポーズの方が、力強くスムーズに腕が動かせる感覚を味わうことができるだろう。

野球にも応用される、背中の丸み。

 そしてこの姿勢は野球にも当てはまる。

 投手なら無理なく腕が振れ、打者ならスムーズにバットを振ることができるという。その具体例としてあがったのが、イチローの打撃フォームというわけだ。

 自分もこの話を聞いた後、すぐさま過去のイチローの打撃フォームをチェックした。

 確かにシーズン200本安打を続けていた(背中が丸みを帯びていた)頃と、ここ1、2年(比較的、背中がのけぞっていた頃)のイチローの打撃では背中の使い方がかなり違っていることがすぐに理解できた。

 そして今年、イチローの背中(丸みを帯びていた)の違いを発見したブルージェイズ戦で、なんと3安打を放つ活躍をみせた。

 そのうち2本は打球に勢いのない内野安打だったのだが、自分の目にはそれがより一層イチローらしさを際立たせていた。

【次ページ】 “悪球打ち”が可能なシーズンは好調といっていい。

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