詳説日本野球研究BACK NUMBER
「最下位予想」を撤回させる魅力。
新生・西武に見た“上位の法則”。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNaoya Sanuki
posted2014/04/11 16:30
昨シーズンは110打点をあげ、プロ野球最年少タイ(当時23歳)パ打点王に輝いた浅村栄斗。今季は既に2本塁打を放ち(4月8日現在)、中村剛也に代わる4番として西武打線を支える。
選手層が厚ければ、それだけ監督の覚悟は鈍る。
まだ始まったばかりだから12球団でそれほど大きな差はないと思っていた。しかし、結果はご覧のようにかなり差が出ている。まず注目されるのがセ・リーグの起用人数の多さである。6球団すべてが1試合平均4人以上の投手を起用している。
それに対してパ・リーグはソフトバンクと日本ハム以外は、1試合平均4人以下の起用人数になっている。選手層の厚い巨人とソフトバンクが1試合平均の起用人数が多いのは意外だが、選手層が厚ければそれだけ監督の覚悟が鈍るというのが私の考えである。話を4月8日の西武対ソフトバンク戦に戻せば、ソフトバンクはスタンリッジ、柳瀬明宏、森福允彦、岡島秀樹、サファテと5人の投手をつぎ込んでいる。
柳瀬は打者4人、森福は打者1人で交代し、それ以降も岡島が1イニング、打者3人で抑えのサファテにつないでいる。それに対して西武は先発・牧田和久のデキがよかったことはあるが、牧田→十亀の継投で収めている。有り余る戦力を抱えるソフトバンクに対して、戦力に余裕がない西武の方が、投手起用に関しては上位球団の鉄則「起用人数の少なさ」を実現できているのが皮肉である。
戦力が整わない中で、西武はどんな戦いを見せるか。
ペナントレースは6カ月以上にわたる消耗戦、物量戦という側面を持っているので、選手層の厚い球団のほうが有利なことは間違いない。しかし、やりくりする監督・コーチの手腕や選手1人1人の覚悟があればマイナス要因はプラス要因に変る可能性がある。
今季の西武は主力選手の移籍や故障欠場で選手層が薄くなり、チーム成績も低迷しているが、戦い方自体は悪くない。プロ野球に参画した'79年以降、パ・リーグのみならずプロ野球界を牽引してきた西武には、こういう戦力が整わないシーズンにこそ奮起してほしい。