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松山英樹は棄権、石川遼は予選落ち。
それでも2人の未来は「バラ色」だ。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byAP/AFLO

posted2014/03/04 10:50

松山英樹は棄権、石川遼は予選落ち。それでも2人の未来は「バラ色」だ。<Number Web> photograph by AP/AFLO

今季はすでに来季のシード権をほぼ手中にしている石川遼。ホンダ・クラシックでは予選落ちに終わったが、内容的にも昨年よりも大きく成長していることは明白だ。

繰り返されてきた、大きすぎる期待と現実の落差。

 この現象、何も今に始まったことではない。この10年ぐらいの間だけを振り返っても、丸山茂樹、宮里藍、そして石川、松山。誰の時代も、まったく同じ現象が繰り返されてしまっている。

 米ツアーの熾烈さ、層の厚さは日本のそれとは比較にならない。予選通過を続けることさえ難しく、シード権を維持し続けることはさらに難しく、勝利を飾るのは至難の業。そんな米ツアーの厳しい現実を理解した上で客観的に見つめれば、ホンダ・クラシックではたまたま石川も松山も早々に姿を消してしまったけれど、彼らがいかに善戦しているかが自ずとわかってくる。

石川の今季は、昨季に比べればバラ色だ。

 去年の今ごろ、米ツアーの正式メンバーとなって本格参戦を開始した石川は、予選落ちを繰り返し、苦しんでいた。「あのころは知らないことが多すぎた」と、後に石川自身が振り返っていたが、その言葉通り、当時の彼は前述したような現実超越型の考え方だった。

「僕は予選通過を目指すために米ツアーに来たんじゃない。優勝するために来たんです」と言い続け、出遅れたり崩れたりして優勝の可能性が薄まると、モチベーションは一気に低下。投げやりなプレー態度もしばしば見られた。

「練習場でできたスイングを試合でもやる」を命題に掲げ、何かにとりつかれたようにスイングをいじり続けた。試合中、技術面の混乱に陥ることしばしば。そこに腰痛悪化という爆弾も抱え、「思うように練習ができない」「でも取り残されそうで、試合を休むのが怖い」。そうやって負のスパイラルに陥り、シードを落としかけ、新設された下部ツアー・ファイナル4戦を経て、敗者復活的に今季の出場権を辛くも手に入れた。

 そんな昨季と比べたら、石川の今季はバラ色だ。昨季は23試合で必死に稼いだフェデックスカップポイントの合計が298ポイントだった。が、今季はホンダ・クラシックまでのわずか9試合ですでに425ポイント。来季のシード獲得は、もはや目前だ。

 考え方にも大きな変化が見て取れる。ホンダ・クラシックの予選2日間は、ショットの乱れを立て直すべく、スイングに意識を向けざるを得なかったが、「本当はスイングのことは試合中に考えたくない。ゲームのマネジメントに集中できるのが理想。昨日と今日はゴルフじゃない」と、一年前とは別人のような言葉を口にした。

 何かが乱れても、頭の中で整理ができれば、負のスパイラルには陥らない。そこに気づき、それができるようになるまでに、石川は1年を要した。が、1年の歳月を費やし、そこに気づいたからこそ、今季の彼は善戦している。

【次ページ】 3度の棄権を上回る、1年目松山の成績。

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