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<日ハムスカウトが明かすドラフト当日まで> 斎藤佑樹 「“夢”への入り口」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byTomoki Momozono
posted2010/11/16 06:00
日本中が熱狂した夏の甲子園、そして50年ぶりに行なわれた慶大との
優勝決定戦――。常に周囲の脚光を浴び、結果を残し続けてきたあの男が
今、新たなステージへと進もうとしている。
稀代のスターへの指名はどのように決められたのか。担当スカウトが
獲得決意までの日々を余すところ無く語った。
優勝決定戦――。常に周囲の脚光を浴び、結果を残し続けてきたあの男が
今、新たなステージへと進もうとしている。
稀代のスターへの指名はどのように決められたのか。担当スカウトが
獲得決意までの日々を余すところ無く語った。
元気ないですね――。
北海道日本ハムのGMで、ドラフト指名選手の最終的な決定権を持つ山田正雄は、ドラフト会議が終了し、控え室に戻るなり、スカウトのひとりにそう声をかけられたという。今ドラフトの最注目選手、早稲田大の斎藤佑樹を4球団で競合した末に抽選で引き当てた直後だというのに、だ。
「周りの人は、わーわー喜んでいましたけど、これは大変なことになったな……と」
無論、喜びを爆発させたい思いもあった。だが、これからのことを考えると、表情は緩むどころか逆に強ばっていた。
――その数日前。
山田は、珍しく揺れていた。山田がGMに就任したのは2007年オフのことだ。以降のドラフトにおいては、'08年には学生ナンバー1捕手、東洋大の大野奨太を、'09年にはメジャー球団をも巻き込んでの騒ぎになった花巻東高の豪腕、菊池雄星をいのいちばんにリストアップ。菊池は6球団が競合した結果、交渉権を得ることはできなかったが、その方向性はかなり早い時期に定まっていた。
だが今年は本番直前まで、5人の大学生投手の中の誰かということしか決まっていなかった。