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イチローは何のために打ち続ける?
偉業達成の姿に重なる、あの“剣豪”。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2010/09/24 12:30

イチローは何のために打ち続ける?偉業達成の姿に重なる、あの“剣豪”。<Number Web> photograph by Getty Images

「シーズン100敗のチームで200安打」という奇妙な記録。

 現在マリナーズはシーズン100敗の可能性を残している。シアトルの地元紙によると、シーズン100敗以上したチームで200安打を放った選手は、2008年のイチローを含めメジャー史上8人しかおらず、それを2度達成したものは誰もいないのだという。

 この「シーズン100敗したチームで200安打」という奇妙な記録にこそ、もしかするともっともイチロー“らしさ”が凝縮されているのかもしれない……。

 ここまで論を進めていく中で、徐々にある人物がイチローとオーバーラップしていく感覚に襲われた。

 井上雄彦氏が漫画『バガボンド』で描く宮本武蔵だ。

 周囲の思惑、利害などを気にせずストイックに剣の道を追求してしまう不器用さ。周りに影響されない唯我独尊の強さを目指し、命のやりとりを求めて“闘いの螺旋”からずっと身を引こうとしない生き方。すべてがイチローとダブってしまう。

 果たして未開の領域に足を踏み入れたイチローの前にはどんな視界が広がっているのだろうか。ひとつだけ確かなことは、“闘いの螺旋”だけは果てしなく伸び続けているということだ。

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