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<モスクワ直撃取材> 本田圭佑 「革命児の美学」 ~ついに明かした“W杯を語らない理由”~ 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byTamon Matsuzono

posted2010/08/26 06:01

<モスクワ直撃取材> 本田圭佑 「革命児の美学」 ~ついに明かした“W杯を語らない理由”~<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

監督の意思に反し、トップ下でのプレーにこだわる理由。

 なにせ日本国中が祝福ムードに沸いていたときに、「自分はバッシングされると思っていた」というのだ。きっと水をかけられてもおかしくない、と覚悟していたのだろう。だが、降ってきたのは称賛の嵐。なんだ、みんな優勝やベスト4は本気じゃなかったんだ、と失望したに違いない。

 筆者はフェンロ時代に定期的に試合に足を運び、本田のサッカー哲学をわかっているつもりになっていた。だが、W杯を経た今、本田は次の領域に進もうとしていると感じた。

 もう一度、本田が目指す選手像を、基礎から訊き直す必要がありそうだ。

 翌日、再び車が出てきたところを捕まえた。

――CSKAで本田くんはトップ下でのプレーを希望しているが、スルツキ監督はボランチで起用しようとしている。ひょっとしたらトップ下をやるうえで何か足りないものがあるということでは?

「当然、足りない部分はあると思う。ただ、それができるようになるまでボクが我慢してやる、というのは、自分の哲学に合わない。他のところじゃやらねえよ、という感覚でいないと、いつまでたっても自分がイメージする『先に走る自分』に追いつけない」

「ボクがイニエスタに劣っているのは間違いない。ただ……」

――課題について、思い当たることがある。イニエスタの動きをW杯で見ていると、ボールをもらう動きが直線的ではない。そんなに走っているわけじゃないんだけども、頻繁に方向を変えている。

「イニエスタもチャビも、それがうまいね」

――そういう動きを、もっとすべきでは?

「すべての面でボクがイニエスタに劣っているのは間違いないと思う。ただね、どういうプレースタイルを自分が目指すか。バルセロナなら、あの動きが効果的になるのかもしれないけど、イニエスタがCSKAに来たら、5回中4回無駄になる可能性がある。結局、チームで自分を生かすということは何なのか。基本的にCSKAでは余計なことをやると、完全に意味のない動きに変わると思っているから。基本的に誰かがボールを持ったら、追い越す動きをする。ただ、ビッグクラブにいったら、確実に今とは違うことが求められるでしょうね」

――課題が見えてないわけじゃなくて、現状を踏まえてそうしているということ?

「あとオレは、自分で得点を取りたいからね。チャビやイニエスタのようにゲームを作って、相手を完全に圧倒して、支配する時間を長くして、前線にパスを供給する。そういうスペシャリストになりたいと思ってないから」

――相手を翻弄して崩して、ハイとFWに渡す役じゃなくて、渡される方がいい?

「フフフ、そやね。最後はオレに出せみたいな。そういう意味で、自分に足りひんものがあるから、FWみたいなポジションをやらされへんのだと思う。そこは自分でも理解しつつ、それでもやらせろという、矛盾した自分がいるのも事実。でも、それがないとやっていけない世界やと思っているんで」

【次ページ】 本田が追求する理想の選手像とサッカー哲学。

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