伊達の口から漏れた、思いがけない言葉。

「（出場の）判断は間違っていたかもしれない」

　一度決めたらやりぬくという、果断に富んだ性格の伊達の口から、思いがけない言葉が漏れた。それだけ難しい判断だったのだろう。伊達は胸の内を淡々と言葉にしていった。

「力になれなかった。せっかくここ（ワールドグループ）まで来たのに、自分の力が足りなかった悔しさはあります」

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　これで2勝2敗。伊達の完敗は誤算だったが、まだ負けたわけではない。

　最終試合のダブルス、日本は予定通り、シングルス2勝と波に乗る森田と、フレッシュな土居を送り出した。

　しかし、相手のベスニナ／マカロワが一枚上手だった。ベスニナはダブルスの世界ランキング9位、マカロワは10位。個人戦のツアーでは常にペアを組み、コンビネーションは熟成されている。

村上監督が語った「モスクワの奇跡」の夢は叶わず。

　2－6、2－6。日本ペアの完敗だった。「思い切って積極的にやらない限りチャンスはないと思っていた。いろいろ話し合いながらやったが、すべて向こうが上だった」と森田が言えば、「相手は組み慣れているペア。（コンビネーションも）しっかりしていて、チャンスが見出せなかった。強かったです」と土居も口をそろえた。

　2勝3敗。村上監督が代表選手発表の会見で口にした「モスクワの奇跡」は現実のものとはならなかった。

　終わってみれば、実に団体戦らしい一戦だった。流れは1試合ごとに両チームの間を行ったり来たり。伊達のケガ、キリレンコの体調不良と、予期せぬアクシデントも双方にあった。両監督の采配も勝負の綾となった。結果論だが、日本ベンチの伊達起用は裏目に出た。一方、気持ちが落ち込みそうな完敗を喫したマカロワとベスニナを蘇らせたのは監督、コーチの手腕だろう。

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