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即渡米してメジャーへ到達した男。
田澤純一の今季に注目せよ!
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byGetty Images
posted2013/01/07 10:30
メジャー屈指の育成システムを持つボストン・レッドソックスで育てられた田澤。不運なヒジの故障もあったが、手術成功後のリハビリも順調で、完全復帰してからは術前よりも威力のある球が投げられるようになったという。
田澤の充実を見る限り、即渡米の選択も間違いではない。
田澤はルーキーリーグからトリプルAまで、ほぼすべてのマイナー暮らしを経験している。だが、インタビューの全体を通して、いわゆる苦労話らしい苦労話はひとつも出てこなかった。
もちろん、大前提として田澤の精神的なたくましさがあるのだと思う。それに加えて、日本ハムの資料の中にあった50余名の「NPB未経験組」と明らかに違うのは、田澤クラスの選手になると常に通訳をつけてもらうなどの特約事項もあるということだ。また、3年総額400万ドル(3億8000万円)という大きな契約だったため、球団が用意してくれた食事で物足りなかったら自費で補うこともできた。そして、何より日本でトップクラスと認められた能力があった。
田澤の話を聞いていて、それらのものがあれば、アメリカで育ててもらうという方法は、おこがましい言い方になるが、少なくとも「間違い」ではないと思えた。
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今シーズン、田澤がさらなる好成績を収めたとき、日本球界はどんな反応を示すのだろうか。
また、そのとき、田澤はアメリカのことをどんな風に語るのだろう。
そういう意味でも、田澤の5年目が楽しみである。