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今ドラフトは“右投右打”が大人気!!
統一球が変えつつある強打者の条件。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/11/14 10:30
広島からドラフト1位指名を受け、仮契約を結んだ龍谷大平安高の高橋大樹。高校通算43本塁打の長打力を持ちながら、俊足も魅力の超高校級外野手だ。
WBCのチーム編成でも右投左打の偏重は慎むべき。
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が近くなると野球ファンならオールジャパンの編成が気になる。'09年は野手15人中、右投左打が8人もいて、左投左打の稲葉篤紀を入れれば左打ちが9人になり明らかにバランスを欠いていた。優勝したからそれでいいだろう、という意見もありそうだが、韓国戦では左腕・奉重根(ボン・ジュングン)と3回対戦し、3回とも抑えられた。
3/9 韓国1-0日本 5.1回、3安打、2三振、0失点
3/17 韓国4-1日本 5.1回、3安打、1三振、1失点
3/23 日本5-3韓国 4.0回、6安打、1三振、1失点
奉の2勝0敗、防御率0.61という成績を見れば、左打者偏重の日本チームに対して左腕がいかに有効だったかわかる。とくに奉のように縦の変化球を交えた緩急を得意とする左腕に日本は弱い。1球団のアンバランスなチーム編成がジャパン全体のアンバランスにつながっているので、過度な右投左打の増殖は抑えるべきという意見はもっともである。
左右打者のバランスの取れた選手構成が重要である。
そう言う一方で、持ち味はなくしてはならないという意見にも納得できる。
結局、要はバランスなのである。
本塁打数が毎年上位で、野手陣の左右バランスも取れている巨人、中日、ソフトバンクが今ドラフトで辻東倫(菰野→巨人3位)、古本武尊(龍谷大→中日3位)、溝脇隼人(九州学院→中日5位)、高田知季(亜大→ソフトバンク3位)という右投左打を指名しているのはまったく気にならない。
何度も言うようだが、大切なのはバランスである。左右打者のバランスの取れた選手構成、という問題を改めて提示してくれた今年のドラフトは、私にとって藤浪の去就や大谷の去就よりはるかに興味深かった。