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現地の宇佐美サポとの会話から――。
ドイツで再発見したJリーグの真価。  

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細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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posted2012/10/27 08:02

現地の宇佐美サポとの会話から――。ドイツで再発見したJリーグの真価。 <Number Web> photograph by AFLO

スピードと技術を武器に、ドイツでも独特の存在感を放つ宇佐美。そのスタイルのベースがJリーグで培われたことを、日本サッカーは誇っていい。

「ウザミとは間違いなく、今シーズン限りでお別れだね」

 19日のホッフェンハイム対グロイター・フュルト戦を取材した帰路、バスの中で隣に座ったフィリップが面白いことを言っていた。28歳の彼はホッフェンハイムのサポーターで、ホーム戦は必ず、仲間5人とスタジアムに繰り出しているという。バスに乗り込むなり陽気に歌い、歌いながら隣に座り、自己紹介として「NISSAN GT-Rみたいなスポーツカーの大ファンだ」と教えてくれた彼だが、宇佐美のパフォーマンスについて尋ねると真剣な表情で語り始めた。念のため「日本のジャーナリストなんだ」と伝えてレコーダーを向けると、彼の口は一層弾んだ。

「ウザミとは間違いなく、今シーズン限りでお別れだね。カガワと同じようにプレミアリーグに行くか、もしくはリーガ・エスパニョーラに行くんじゃないかと思ってる。あんないい選手を他のクラブが放っておくわけないよ。ブンデスリーガは確かに魅力的なリーグだけど、“トップ”じゃない。ここの枠に収まらない優秀な選手は、どんどん出て行くべきだと思う」

 でも今日はイマイチだったねと返すと、彼は血相を変えて反論した。

「そうじゃない。確かに今日のウザミはそれほど良くなかったけど、彼の価値は1試合で決まるものじゃないんだ。シーズンを通して考えれば、彼が素晴らしいシーズンを送ることは目に見えている。何より、ウザミはチームのためにプレーできる選手だ」

「どうして日本はあんなにスゴい選手がどんどん出てくるんだ?」

 これには、「でも僕は、彼のソリストな側面こそが魅力だと思うよ」と“鎌”をかけてみた。ちなみに「ウザミ」じゃなくて「ウサミ」、「ザ」じゃなくて「サ」だとも伝えてみたが、言うまでもなく後者についてはあっさりと聞き流された。

「その意見はよく分かる。でも、ソリストであることとチームプレーヤーであることは正反対じゃない。むしろソリストでなきゃ、チームプレーの中にいても輝けないだろ」

 全くそのとおり。僕もそう思う。キミの意見に100%同意すると伝えると、フィリップは「どっちなんだよ」と言って笑った。それから次に、「質問があるんだけど」と切り出してきた。

「でも、どうして日本はあんなにスゴい選手がどんどん出てくるんだ? カガワ、イヌイ、ウザミ、ザカイ(おそらく高徳)、それからキヨタケ……スゴい選手ばかりじゃないか」

 どうしてと聞かれてすぐに答えを返せるほど、残念ながら英語が達者ではない。フィリップもそれを悟って話題を原発問題に切り替え、しばらくしてバスを降りた。別れ際、彼は「次に来る日本人選手がホッフェンハイムでプレーすることを願っている」と言いながら握手を求めてきた。

【次ページ】 日本人選手に羨望の眼差しが向けられるのはなぜか?

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