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早くも'14年W杯の優勝は諦めムード?
ホジソン率いるイングランドの憂鬱。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/10/24 10:31

早くも'14年W杯の優勝は諦めムード?ホジソン率いるイングランドの憂鬱。<Number Web> photograph by AFLO

ジェラードが出場停止だったサンマリノ戦でキャプテンマークを巻いたルーニー。ジェラードが代表を引退すれば、「次のキャプテンはルーニー」だとホジソン監督も発表している。

ポーランドを喜ばせることになった、ルーニーの交代。

 既に出来上がっている選手のテクニック改善を、今更、代表監督に求めることはできない。但し、ケアレスミスを減らすための意識改善は可能であり、指揮官は、そのために声を荒らげてもいいはずだ。

 土壇場で辛くも同点としたウクライナ戦では、劣勢の中、本来はキープ力があるはずのジェラードやランパードにも、不用意なロストボールが見られた。後半に失点したポーランド戦でも、ロベルト・レバンドフスキのシュートが枠を捉えていれば、前半の内に、ルーニーの軽率なパスを機に先制されているところだった。

 ホジソンには、ベンチワークでも「強気」が求められる。

 指揮官は、ポーランドに追いつかれた3分後にルーニーに交代を命じた。試合後には、「出来が良かったとも思えず、疲れも見えた」と説明。もっともな理由だが、出来の悪さと動きの鈍さは、先発メンバー全員に共通していた。ホジソンは、代表で精彩を欠いて久しいルーニーを乗せようと、ジェラードが出場停止中だった前週の試合でキャプテンを任せたばかり。であれば、ここでも、フルタイム起用で更にやる気を喚起して欲しかった。

 73分のエース交代は、むしろ敵を喜ばせた。投入されたアレックス・オクスレイド・チェンバレンのインパクトは否定できないが、突破力の必要性は前半から明白だった。最悪の出来だったマイケル・キャリックを下げて、クレバリーを本来の中央に回し、早めに威勢の良いチェンバレンを左サイドに入れることで、能動的に相手右サイドの攻撃を抑制することもできただろう。

期待値が低いホジソンに対しては、メディアの攻撃も軽いジャブ程度。

 もっとも、年内のW杯予選を不甲斐ないパフォーマンスで締め括っても、ホジソンは酷評されていない。予選4試合でまずまずの結果を残した母国人監督に対しては、世間も「無難」なスタンスを保っている。W杯出場が危ぶまれる事態を迎えたわけではなく、メディアの攻撃も、『スリー・ライオンズは吠えず、いびきをかいた』というタブロイド紙の見出しをはじめ、軽いジャブ程度。1日順延されたポーランド戦を延泊して見守ったファンの失意は、協会とチームによる観戦費用返金で和らいだ。そもそも、ホジソンのイングランドには、2014年W杯はもちろん、EURO2016でも優勝など期待されていない。

 だが、指揮官が「無難」という殻を破ろうとしなければ、代表が本当の意味で将来に向けて前進することは難しい。年内最後のホームゲームとなったサンマリノ戦、観戦プログラムには、ホジソンが、5年前まで代表監督を務めていたフィンランドで、サッカー界への貢献による爵位を贈られたニュースが載っていた。果たして、4年後には、イングランド代表の進展に寄与した功績により、母国でも爵位を授かることができるのか? 現状、その可能性は極めて低いと言わざるを得ない。

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