メディアウオッチングBACK NUMBER
英国メディアは、香川真司の
デビューをどう報じたか。
~3節までの現地報道を検証~
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph bySports Graphic Number
posted2012/09/15 08:00
プレミア初ゴールを決めた翌々日の紙面では『香川はルーニーを驚かす存在になるかもしれない』との見出しもあった。
初ゴール後には「ルーニーを脅かす存在」とまで絶賛。
香川に対する好意的な見方は、8月25日、オールド・トラッフォードで行なわれたフルアム戦で一気に広まる。特に試合の翌々日には、マンUに与えた戦術的なインパクトを分析する記事が増えた。 ガーディアンはさらに一歩踏み込んで、「香川はルーニーを脅かす存在になるかもしれない」という見出しの記事を掲載。タブロイド紙のノリは、もっとストレートだった。大衆紙のサンは「GAGA FOR KAGA(カガワに夢中)」と褒め讃え、地元紙のマンチェスター・イブニングニュースは「ヒーローの香川は、ルーニーの怪我で恩恵を受けるかもしれない」と生臭い予想までしている。
この時点から香川は、プレミア全体の枠組みの中でも高い評価を受け始めた。デイリー・ミラー紙は、香川を第2節のベストイレブンに選んでいる。
並行して、彼の人物像に目を向ける記事も出てきた。デイリー・メイル紙は「ファーギーが言うことは、一言も理解できません」という本人のコメントを見出しに使い、談話を引用している。カガワ・シンジなる人間は何者なのかという興味が芽生えてきた様子がうかがえる。
サウサンプトン戦で存在感を発揮できず、記事の扱いは……。
残念ながら香川は、第3節のサウサンプトン戦では、あまり存在感を発揮できぬままピッチを後にした。日本ではプレミアの手厳しい洗礼を浴びたといった報道が多かったが、現地ではそのような論調は意外に少ない。代わりに紙面は再び「ファンペルシ祭り」になった。
ピッチ上のパフォーマンスは、記事の扱いにそのまま反映される。その意味で香川にとっては、ファンペルシと同じ頻度や大きさでメディアに取り上げられるようになるのが、当面の目標だという事になるのかもしれない。