「パオロ・マルディーニの受け売りなんだけど……」

――すでに多くのタイトルを手にしたベテランたちは、南アを前にして新たなモチベーションを見出せずにいる、という声もある。君自身、スクデットもCLもクラブ世界一もW杯もすでに手にしているよね。

「あのなルイウ、悪いんだが、これってのは勝ったヤツにしか分からないものなんだよ。あの'06年、ドイツとの準決勝でグロッソの一発が決まった瞬間、駄目押しの2点目をデル・ピエーロが決めてみせた瞬間、そして決勝で最後のPKをグロッソが決めた瞬間……その喜びが一体どれほどのものだったか。そうした勝利を手にすると、“味”を知ってしまうわけだよ。すると当然、『もう一度』となる。つまり病み付きになるんだ。だから、今の俺たちがモチベーションを見出せないなんてことはあり得ない。いまのは何を隠そう、パオロ・マルディーニの受け売りなんだけどね（笑）。まあ、俺も若い頃はその辺が分かってなくて、ミランに来た当初は先輩達にまったく同じことを聞いていたんだ。

　とにかく今32歳の俺は、きっと南アが最後のW杯になる。それはキャプテン（カンナバーロ）も同じ。だからもういっぺん獲りに行くぜ。年寄りだからって馬鹿にするなよ（笑）。とにかく、“偉業達成”のために死に物狂いでボールを追うと誓うよ！」