なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
準決勝で豪州に勝てばW杯出場決定!!
美しくも強い、なでしこサッカー。
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byMutsuko Yamasaki
posted2010/05/26 10:30
素早いパス回しとポゼッションの連動性でアジア屈指のサッカー戦術を見せるなでしこジャパン。男子代表とは異なり、日本人の身体特性を生かしたサッカーを完成させつつある
グループリーグ最後の試合となった日本-北朝鮮戦(24日)のハーフタイムで、隣にいた韓国協会の技術委員氏が感に堪えないといった様子で話しかけてきた。
「日本は素晴らしいよ。個々のテクニックも戦術も……」
そこで僕が、
「いえいえ、今日は代表経験の少ない選手中心ですからまだまだです」
と答えると、彼はさらに驚いていた。
ボールを回していたのはほとんど、なでしこ。パスワークだけでなく、走り勝ち、球際で競り勝っていたのも、若きなでしこたちだった。
北朝鮮は現在世代交代の最中。そして成都の暑さになかなか馴染めずにいる上、グループリーグ全3戦をほぼ固定メンバーで戦って疲労が蓄積しているが、なに、こちらは澤穂希も大野忍も出していないのだ。にもかかわらず、日本が2-1という点差以上の印象で北朝鮮を圧倒したのは、おそらく初めてではないか。
グループリーグのA、B両組を通じ、日本のパフォーマンスは出場国中で頭ふたつ抜けていた。冷静な守備時の集散、長短のパスにドリブルを織り交ぜたテンポの良い崩し。しかもW杯出場のかかる準決勝以降を見越し、1戦ごとにメンバーを大きく入れ替えてもその質にほとんど変化がなかったのは驚くべきことだ。
攻撃の宮間と守備の熊谷が新世代のリーダーに。
二人の選手が攻守のリーダーに育ちつつあるのが、見ていて頼もしい。
攻撃では宮間あやだ。周囲の球離れが悪くなってくるとすかさず、
「はたいて!」
と大声で指示を飛ばしたり、相手の守備網に穴があれば躊躇せずミドルシュートを狙ったり。アメリカのプロリーグでも屈指の好選手と評価されるだけの風格が漂っている。
守備では19歳のセンターバック・熊谷紗希が、1試合ごとに成長している。持ち前の空中戦の強さやフィード力だけでなく、DFラインの統率にも積極的に加わり始めた。北朝鮮戦後も、
「これまでは引っ張ってもらうことが多かったので、今日勝ち切れたことは大きな自信になりました」
と、充実感を口にした。