EURO大戦2012BACK NUMBER
C・ロナウドvs.バルサの戦い!?
ユーロ準決勝はリーガの代理戦争。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/06/27 10:31
オランダ、チェコ戦と立て続けに得点し、得点能力の不安を一掃したC・ロナウド。今大会で放ったシュート数は、ユーロ2008の記録である28本を抜き、大会史上最多となっている。
ポルトガル対スペイン――。
イベリア半島ダービーであり、リーガファンには言わずもがなの“クラシコ”代理戦である。
わかりやすいスペインの方からいうと、プレイスタイルは基本的にバルサと同じショートパスを用いたポゼッションサッカー。そしてチームの要である中盤にはシャビ、イニエスタ、セスク、ブスケッツの4人が、ディフェンスラインにはピケが、アタッカーにはペドロがいる。出場機会はないだろうが、GKビクトル・バルデスもバルサの一員だ。
一方のポルトガルにいるマドリーの選手はクリスティアーノ・ロナウドとコエントラン、ペペの3人だけだが、ディフェンス固めを優先し、前線のタレントがカウンターでゴールを狙うスタイルはマドリーのサッカーに酷似している。
もっというと、中盤の3人にもまず守備を課す戦術は、ポルトガル出身のモウリーニョが'10-'11シーズン終盤のバルサ戦で用いたものだ。当時のマドリーはこの策をもって、前回5-0で惨敗したバルサを相手に1-1で引き分け、直後の国王杯決勝では延長戦の末、勝利している。
華やかさに欠け、好き嫌いが分かれるだろうポルトガルの戦法。
今大会開幕前のポルトガルは、ベスト4に残るとはとても思えないチームだった。
それが実際ここまで勝ち進んできたのは、パウロ・ベント監督がプレイオフを含む予選10試合で14失点という戦力を冷静に分析し、ドイツやオランダと同じ“死のグループ”に入ってしまった現実を受け入れ、現在のスタイルを選択した結果だ。
華やかさに欠けるし、観る者の好き嫌いも分かれるだろうが、トーナメントを勝ち進むという目標を考えると、ポルトガルにとっては正解だったといえる。
しかし、同時に弱点も持ってしまった。クリスティアーノ・ロナウドへの依存である。